一度「ゼロ」になった街は、支え合いのなか甦る 冬の南相馬・小高で感じた熱いくらいの「温かさ」
提供元:南相馬市
ここは本当に旅館なのか......?

南相馬市小高区は、東京電力福島第一原発から20キロメートル圏内にある。2011年の東日本大震災での原発事故後、避難指示区域に指定され、一時は人口がゼロになった。
その後、12年4月には自宅への寝泊まりは原則認められないものの、一時帰宅や事業再開などを認める避難指示解除準備区域になり、そして16年7月、避難指示が解除された。
そんな小高区で唯一の旅館が、気の良い女将が迎えてくれると評判の「双葉屋旅館」だ。

旅館に足を踏み入れると、「おかえりなさい」の玄関マットが出迎えてくれる。この場所に来たのは初めてだが、「おかえり」と言われると不思議なもので、大きな安心感に包まれた。

そして、「いらっしゃい」と優しい笑顔と声で出迎えてくれたのが、旅館の女将・小林友子(こばやし・ともこ)さん。

小林さんにも初めて会ったはずなのに、気さくで柔和な人柄は、訪れる者をリラックスさせてくれる。

客室もほどよいサイズ。まるで祖父母の家の一部屋に訪れたかのようで、居心地が良い。女将の人柄と相まって、すっかり宿に泊まっていることを忘れてしまった。