都市のど真ん中で農業? 初心者から本格派まで楽しめる可能性を探った

2017年11月29日 07:55

大都市に暮らし、IT機器に囲まれて仕事をしていると、「土や緑に触れたい」と感じることが多いのではないでしょうか。それがベランダ園芸やガーデニングなどの趣味につながる人もいますが、それでは満足できず、さらに一歩踏み込み、「自分が食べる野菜を育てたい」、「子どもたちと一緒に土に触れる時間を得たい」といった人たちもいます。都市で、"農力"を発揮するにはどうしたら良いのか、可能性を探ってみました。
東京に、本格的クラインガルテンがあった!!

都市生活と農作業の両立というと、ドイツが先達と言えます。19世紀に生まれたクラインガルテン(ドイツ語で「小さな庭」の意味)は、都市近郊の小規模の農地で、ラウベと呼ばれる小屋が併設されています。都市住民が賃貸で使うもので、滞在型市民農園とも呼ばれます。週末や休暇のときに来て、農作業に汗を流し、リフレッシュするというものです。

日本でも、1990年代に入るころから各地に続々とクラインガルテンと呼ばれる施設ができました。そこで、東京初の本格的クラインガルテン「おくたま海沢ふれあい農園」(東京都西多摩郡奥多摩町)を訪ねてみました。

【画像1】おくたま海沢ふれあい農園のクラインガルテン。ガス、水道、電気完備のラウベが並ぶ。遠くに山々が見える美しい風景だ(写真撮影/織田孝一)
【画像1】おくたま海沢ふれあい農園のクラインガルテン。ガス、水道、電気完備のラウベが並ぶ。遠くに山々が見える美しい風景だ(写真撮影/織田孝一)

ここは完成して今年で11年目。270m2の農地とそこに建てられた26.5m2のラウべ(ガス、水道、電気設備、キッチン、ユニット式バストイレ付き)が1区画。全部で13区画あります。奥多摩町の施設ですが、海沢地区の自治会が受け皿となって運営し、栽培講習会、料理講習会、収穫祭などを開催し、地元と利用者との交流に力を入れています。
管理運営責任者の堀隆雄さんによると、「利用者は初心者もいますが、市民農園の経験があり、定年退職されている方が多いですね。利用は週末型。車で2、3時間かけて来る方もいます」

利用者の一人、Tさんは世田谷区在住。公務員でしたが定年退職後の生活を模索中に、この農園を知りました。「今は、ほとんどこちらに滞在するような生活です。楽しみは、いろいろな品種の栽培にチャレンジすること。すべて無農薬です」
畑を拝見すると、大根、イチゴ、トウガラシ、サトイモ、エシャロット、タマネギ、白菜などの野菜が立派に育っていました。
 
ここの賃貸料は年間で60万円。単年度ごとの契約で、利用者の平均契約期間は4~5年です。全国のクラインガルテンもおおむね同等の賃貸料で、年間40万円~70万円が相場です。このくらいの金額だと、子育てやローンを終え、ある程度時間とお金に余裕のある退職者の利用が多くなることは確かでしょう。
また「おくたま海沢ふれあい農園」には滞在型だけでなく、日帰りタイプの体験農園も用意しています。こちらは1区画約50m2と規模はずっと小さいのですが、年間1万円で借りることができます。

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