移住はもう「下見なし」の時代に...? 北九州市の「オンライン移住相談」が手軽すぎて最高だった

2020年7月14日 16:00
提供元:北九州市
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都会は、人が多すぎる――。

新型コロナウイルスによる外出自粛が明け、街に人が戻ってきた。長いこと在宅勤務をしていた筆者も、出社する日が増えた。そこで改めて、都会の人の多さを感じる。まだ以前ほどではないものの、ほぼ満員の電車。駅では人並みに飲まれ、乗り換えをするにも一苦労である。

人が多いのは何も東京だけではない。筆者の住む横浜も、駅前は賑わいを見せている。自粛に慣れてしまった筆者は、休日にちょっとした買い物に行くだけで疲れ切ってしまう。

横浜生まれ、横浜育ち。24年間、生粋の都会っ子としてやってきたが、そろそろ静かなところでゆったり暮らしたい......。新型コロナによる自粛生活を受けて、そんな思いがうっすら芽生えてきた。

テレワークも定着してきた今、記者の仕事は日本にいればどこからでもできる気がする。それならば何もこんな窮屈な都会で疲弊している必要はないのではないだろうか......?

そんなやさぐれた気持ちになっていた筆者の元に、福岡県北九州市で行っている「オンライン移住相談」の取材依頼が舞い込んできた。

北九州市といえば、メインの繁華街である小倉、また観光スポットとして門司港レトロなどが有名だ。温暖な港町でご飯もお酒も美味しい、というイメージがある。 何だかゆったり暮らせそうだ。

大正時代の趣が残る門司港レトロ
大正時代の趣が残る門司港レトロ

とはいえ、移住相談のハードルは高い印象だ。役所などに行って、面倒な書類を何枚も書いて......といったイメージがある。しかし、それが今回はオンラインでできるという。

システムはとても簡単。指定のアドレスに希望する相談日をメールすると、テレビ会議システム「zoom」のURLが送られてきて、予約が完了。時間になったらそのURLにアクセスするだけで簡単に移住相談が開始できる、らしい。

しかし、住み慣れた場所を離れて地方に移住、となると大きく生活も変わる。そんな重い相談が、はたしてオンラインでできるものなのだろうか......という不安もある。

どちらにせよ、穏やかでゆったりとした地方での生活に憧れはある。

せっかくなので、実際にオンライン移住相談をしてみることにした。

いざ、オンライン移住相談!

相談に乗ってくれるのは、北九州市門司区出身の菊池勇太さん(31)。

東京、福岡での就職を経て、現在は門司港でゲストハウスやウェブメディアの運営など幅広い事業に携わっている。一度地元を離れているからこそ、移住者の悩みも理解してくれそうだ。

では早速移住相談を......と思ったところで、菊池さんから簡単なプロフィールを求められた。

「いつもどこで生まれ育ってどんなことをしていて......っていう経歴みたいなものを相談者の方から話してもらってます。そうするとどういう環境が良いのかとかも考えやすいので」

と菊池さん。

なるほど、確かに経歴や生活環境によって相談のポイントも変わってくるかもしれない。そんなわけで地方在住経験ゼロ、都会育ちの24歳の素朴な疑問や不安を相談してみた。

以下、実際のオンライン移住相談の雰囲気を伝えるため、その様子を会話形式でお送りする。


――最初に、私のように20代など若い層の移住者っているんでしょうか。

「今(相談が)来ている方が一番若くて29歳ですね。やっぱり若いうちは街中で遊ぶ方が楽しい時代なんじゃないですかね。僕のイメージとしては20代後半ぐらいから人生見つめなおしはじめて、30歳ぐらいで都会の刺激に魅力を感じなくなった人が移住を考える......みたいなのが多い気がします」

――確かに、20代後半になったらちゃんと人生のこと考えなきゃいけないな、って思いますね。

次に、20代女子が一人で移住する、となると一番不安なのが安全面なんですが、北九州市は治安ってどうなんでしょうか。

「横浜と同じぐらいじゃないですかね。昔からあるあんまり雰囲気が良くない歓楽街とか横浜にもあると思うんですけど、それと同じ感じです。一人でそういう場所に近づかず、普通に暮らす分には危ないことはないです。むしろ僕の住んでる門司港は犬を散歩させてるおばあちゃんとかが多いです」

――それはだいぶ和やかですね! 安心しました。ところで、やっぱり移住した場合に一番気になるのは仕事なんですが、若い人が移住して仕事を探したら見つけられるものですか?

「仕事はありますね。特に20代前半の層が少ないのでその年代の人はたくさんあると思います。(職種は)圧倒的に飲食店などのサービス業と、製造業が多いですね。逆に広告代理店とかメディア関係の仕事は少ないです。ものづくりをしている企業が多いですね」

絶景スポットの遠見ヶ鼻は夕日の名所としても知られる
絶景スポットの遠見ヶ鼻は夕日の名所としても知られる

――地方は車社会というようなことも聞きますが、そのへんはどうなんでしょうか。

「車がなくても全然問題はないですね。結構公共交通機関が発達していて、特にバスは網目のように走っているので、特に不便なく暮らせます」

――家賃はどのくらいが多いですか?

「場所とか物件にもよりますけど......。一人暮らしの女の人だったら5万円前後とか多いですね。僕の会社のスタッフとかだと門司港で2DKで2万円ぐらいのところに住んでたりします」

北九州市で20代女子は楽しく暮らせるのか

――家賃、だいぶ安いですね。あ、あと気になるのは遊ぶところなんですが、たとえばショッピングできるところとかってありますか?

「小倉にはそれなりにあります。少し足を延ばして福岡市内の博多とか天神とかで買い物とかしてる人もいますね。
でも北九州市の小倉から博多までは新幹線で15分、バスでも1時間くらいなのでとても近いです」

――15分! それなら気軽に遊びにいけますね。

「はい。あとは、北九州は個人の方がやってる個性的でオシャレなカフェとか雑貨屋とかが多いです。レトロな建物を活用しているお店なんかが結構あるのでそういうのが好きだったら楽しめると思います」

小倉駅はモノレールも走っていて近代的だ
小倉駅はモノレールも走っていて近代的だ

――他に、なにか北九州市に移住するオススメポイントってありますか?

「田舎に移住したい人ってゆったりしたところで暮らしたいんだと思うんですよね。だからといって利便性は失いたくない......みたいな。そういう人にはちょうどいい街だと思います」

――北九州市のホームページにある「ほどよく都会でほどよく田舎」ですね。

「あとは孤独を感じにくいかもしれません。ご近所付き合いとか、歩いてたらいきなり話しかけられたりとかも結構あります。お店でも覚えてもらえるんで常連にもなりやすいです。それこそ若い世代の人あんまいないんですぐお店の人に覚えられると思いますよ」

――都会の人が憧れる地方のあたたかさ、みたいな感じで素敵ですね。

「そうですね。北九州では同世代に限らず、いろいろな世代の人と話す機会があって、幅広く交流できるのが魅力ですね。多種多様なコミュニティでご飯を食べに行ったりして様々な価値観とふれあい、刺激がもらえるというのが面白いので、そういうのが好きな人は住みよいと思います」

「陽気でフレンドリーな人が多い」

自然豊かでのんびり過ごせる平尾台
自然豊かでのんびり過ごせる平尾台

――では、逆に北九州市に移住した際に若い人が苦労しそうなポイントは?

「北九州に限らず九州は全体的に陽気でフレンドリーな人が多いので、グイグイ話しかけられて最初は戸惑う...という話はよく聞きますね。そのへんは長所でもあり短所でもある感じです。慣れるまではちょっと大変かもしれません」

――私はまだ何の予定もないのですが、たとえばいずれ結婚する、子どもができる......ということになった場合はどうでしょうか?

「子育てするには本当にいい街です。自然も多いし、そんなに人も多くないので子供連れて買い物をしたり、街中を歩いていても不便さを感じないと思います。小学校から大学まで揃っていて、教育的な面もとても充実してますね」

――将来的にも不安はないってことですね。聞けば聞くほど北九州市、暮らしやすそうでいいですね......。なんだかこのまま移住してしまいそうな気がしてきました。

「僕も実際に北九州に来てもらって何回かお酒飲んだりしたらこのまま移住してもらえそうな気がしてきました」


ほどよく都会で、ほどよく田舎。利便性もありつつ、ゆったりと暮らせるだなんて......とまだ一度も行ったことがないのに北九州市への憧れは募る。

菊池さんがいろいろと親身になって相談に乗ってくれたおかげもあって、筆者がだんだん取材であることを忘れてきたので、今回のオンライン移住相談はここまでとさせてもらった。

コロナで移住相談が増加?

北九州市がオンライン移住相談を始めたのは2020年5月から。

6月26日までに3件の相談をオンラインで受け付けた。すべて「zoom」に抵抗がない20代から30代の若い世代からの相談だったという。

いずれも、今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、これまでの生き方を見つめなおし、東京からの移住を考える子育て世代。

「子育て環境も含めて、人が『密』にいる状態が嫌になってしまったと皆さんおっしゃってましたね」(菊池さん)

菊池さんに、実際にオンラインでの移住相談を受けていての感想を聞いてみると

「皆さんとてもリラックスして聞きたいことを聞けているような感覚がありますね。あと、オンラインでも相談者の方の熱意とか人柄はすごい伝わってきますね」

とのことだった。

菊池さんが相談を受け付けた3人はいずれ北九州市に下見に来ることを予定しているそう。

実際に北九州市に来た際にギャップを作らないために何か気を付けていることはあるのだろうか。

「あんまりよく言いすぎず、データに基づいて実情をきちんと話すようにしています。事前に質問内容を聞いておいて、先に情報を提供しつつ、それを見ながら相談に乗るようにもしています」(菊池さん)

オンラインで移住相談を「気軽」に

市によると、「『シニアが住みたい街ランキングNo.1』(※)になったこともあり、移住相談はシニア世代が多かった」という。(※=宝島社「田舎暮らしの本」2019年2月号、2019年版 住みたい田舎ベストランキング)

たとえば、市が移住支援の一環として実施している「お試し居住」。これは本格移住の前に、お試しで北九州市での暮らしが体験できるというものだが、19年は50代以上の利用者が全体の4分の3を占めていた。

もっと幅広く、若い世代にもぜひ北九州市に住んでほしい。

そんな思いから、市が始めたのがオンライン移住相談。北九州市へのUターン者であり、地元でもさまざまな事業を行い、以前から個人で移住相談に乗っていたという菊池さんの協力を仰いだ。市の担当者は

「若い人は対面でかっちり話すよりはこうやって少し距離を取って気軽に話せるほうがいいと思うんですよね」

と話す。

また、移住に対する本気度がそこまで高くない人でも、オンラインであれば気軽に相談できるのでは、といった狙いもある。

「オンライン移住相談はとにかく手軽なのが魅力だと思います。オンラインにすることで移住相談のハードルが下がれば、と思います」(市担当者)

確かに、役所のようなかっちりした場所で対面相談......となるとなかなか行きづらい。

そう考えると、自宅で気軽にできるオンライン相談はだいぶハードルが下がるだろう。筆者も、今回実際にやってみて、画面上での会話はほどよくリラックスできたので、気になることを存分に聞くことができた。

菊池さんは、オンライン移住の相談員として

「友達に電話をかけるぐらい気楽に相談してほしい。このオンライン移住相談が新しい生き方をしたい人、環境を変えたい人にとって何かのきっかけになれば嬉しいです」

との思いを話す。

8月からは、菊池さんの営むゲストハウス「PORTO(ポルト)」で、「手軽に」お試し居住やテレワークできるようなプランも計画しているそうだ。

新型コロナウイルスをきっかけに、社会も生活も変わり始めている。

まずは北九州市でお試し居住してみるのもありかもしれない。小倉からのテレワーク、会社的には許されるのだろうか......。オンライン移住相談をしてみたら、自分の新しい生き方に可能性を見出した筆者だった。

北九州市のオンライン移住相談はこちらから。

<企画編集:Jタウンネット>

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