20代都会育ち、田舎暮らしに関心大 ←そんな私のためだけの「移住体験ツアー」を無料で作ってもらった話 IN 西条
都内から西条へ移住して、困ったことは「ない」
記者が紹介してもらったのは、2022年2月に東京都内から西条市に移住してきた渡邊さん一家だ。移住をして半年ほどの、フレッシュな声を聞かせてくれた。
夫の泰資さんの仕事はシステムエンジニア。コロナ禍でフルリモート勤務になったが、それまで住んでいた1LDKの部屋では仕事をするスペースを確保することが難しかった。そこで引っ越しを考えはじめ、「地方移住」という選択肢を選ぶことに。
候補地としてまず考えたのは東京にも行きやすい関東近郊の地域で、いくつかの県には足を運んでいたという。
泰資さん:西条が気になり始めたのは、移住について調べていたら人気ランキング1位となっているのを見かけたからです。といっても、愛媛には縁もゆかりもないし、そもそも四国にも行ったことがなかったので最初は『移住の可能性は一番低いかな』と思ってました。
泰資さんの実家は宮城、妻の加奈子さんの実家は新潟で、それぞれの地元も近いわけではない。
移住先候補としては「大穴」だった西条。それが「本命」になったのは、オーダーメイド型の「1泊2日無料移住体験ツアー」への参加がきっかけだった。
記者は「1人で西条に移住して、暮らしていくこと」をテーマにツアーを組んでもらったが、渡邊さんたちは親子での移住なので、同じような家族構成・境遇の先輩移住者家族や、子供のための場所も紹介してもらったそう。
加奈子さん:実際に来て、案内してもらって、すごくしっくりきたんです。海もあって、山もあって、町並みもよくて、直感ですごく気に入りました。周ちゃん広場っていう市場に連れていってもらったときは『こんなに安くて新鮮なものが食べられるんだ!』って感動したし、ツアーの中で見せてもらった日本海とも太平洋とも違う、すごく綺麗な海も衝撃で忘れられません。息子もすごくはしゃいでいました。
泰資さん:今実際に子供が通っているところではないんですけど、市内の幼稚園を案内してもらったよね。校舎も園庭も広くてすごくいいなと思いました。
移住後の生活を具体的にイメージできるツアーを体験してから、約3か月。一家は西条に引っ越すことを選んだ。
この街で約半年を過ごしてみて、「東京で『出来なかったこと』や『やれなかったこと』をやれているなって感じがする」と口を揃える加奈子さんと泰資さん。大変だと感じたことや困っていることはないか尋ねると、加奈子さんが少し悩んだ後、こう言った。
「私はないかも。特にぱっと思いつかないくらい満足してます」
そして、単身で西条にやってきた記者に、「単身者でも楽しく暮らせると思いますよ。私も、一人暮らしでも西条に住みたいなって思うもん」と言って背中を押してくれたのだった。