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あなたの隣はどの師匠? 長崎の寄席がコロナ対策に導入した「芸人席」が粋だった

横田 絢

横田 絢

2020.07.01 06:00
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「ここには座らないで」では楽しくない

前田さんは大の落語好きで、寄席に行くために、年に何度も東京に足を運んでいるという。

長崎もってこい寄席は、そんな前田さんが21年前にはじめた催し。年に5回、東京で出会った落語家を招待して、芸を披露してもらっているそうだ。

28日に行われたのは、通算92回目の寄席。東京から落語家の春風亭一之輔さんを呼んだ。

4月に予定されていた公演が新型コロナの影響で中止となっていたため、4か月ぶりの開催だった。

客席に貼られた芸人の名前は150人分。これまでに長崎もってこい寄席に来てもらった落語家や漫才師を中心に、前田さんが一人一人の名前を書いていったという。

「私はこの(コロナの)状態になってから、行われていないから(寄席へ)行く機会もなかったんですけど、テレビとかネットの情報で、(席を)半分ずつする時にどうするのかを映像で見て。
ばつ印があって、『ここには座っちゃダメです』『ご遠慮ください』と書いてある。それを一枚書いてコピーすれば楽なんだけど、それってなんだか楽しくないなあと」

そんなふうに考えていた前田さんの目に入ってきたのは、長崎にある動物園のレストランでの取り組みだった。

利用者同士が近づきすぎないよう、一席ずつぬいぐるみが置いてある、というものだ。ぬいぐるみの隣に座った女の子が喜んでいる様子が、ローカルニュースに取り上げられているのを見て、前田さんは「楽しそうやなあ」と思ったそう。

「ただ座っちゃダメよ、というよりもこんなに楽しい仕方があるんだったら、と。
じゃあ何か代わりになるものは...と考えて、『ここは芸人さんが座る席だ』ということにしようと。それで名前を書いて、手伝ってくれた人にランダムに貼ってもらったんです」(前田さん)
観客「志ん朝師匠が隣で嬉しかった」
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