世界中、至る所に存在しているのに見ようとしなければ気づかない――そんな「アイツ」が主役の企画展が、茨城県で開催されている。 その会場が、コチラ。 Jタウンネット記者撮影、茨城県自然博物館にて 何か木の棒のようなものに、公園にありそうなベンチ。奥にはガードレールが見える。 これらには共通点がある。それは、展示の主役が"くっついている"こと。 その主役とは......。 ガードレールに付いている「地衣類」 身近過ぎるためか、あまり認知されていないマイナーな生物――「地衣類」だ。 ベンチのコケは「アレ」の指標に!? 「地衣類」というのは、いわゆる"こけ"と呼ばれるものだ。 「それって植物でしょ?」 そう思っている人もいるかもしれない(筆者はそうだった)。でも、"こけ"という日本語は「木などに付く小さな毛のようなもの」の総称であり、その中には植物以外も含まれている。 地衣類は、藻類と共生する「菌類」(カビやキノコの仲間)だ。 地衣類展 入口 ミュージアムパーク茨城県自然博物館(坂東市)では2024年1月21日まで、そんな地衣類をテーマにした企画展「地衣類 ―木を、岩を、地面を彩る身近な生きもの―」を開催中。 展示室に入ると......多種多様な地衣類が、いろんな手法で展示されている。 入口にある地衣類「ハナゴケ」を着色して作ったアートで、それぞれ「宇宙」「山」「花」「宝石」がテーマ。映える 地衣類がいっぱいだぁ 印象的だったのは、地衣類が付いたベンチやガードレールがそのまま設置されていること。なるべく生育状態のまま展示する、という方針によるものだ。 ガードレールに付いていたキウメノキゴケ。 公園のベンチに付いている地衣類 ちなみに、ベンチに付いている「ウメノキゴケ」は排気ガス(二酸化硫黄)に弱く、その成長や存在の有無が大気汚染の指標になるそうだ。 実は「地衣類」、学生時代に使ってたかも? また、記者が驚いたのは、地衣類が染色、香水、食材など、様々な用途で活用されているということ。 学生の頃、お世話になったリトマス紙。地衣類「リトマスゴケ」から取り出した色素を利用して作ったもの(現在、色素は化学合成) 地衣類「イワタケ」を使ったまんじゅう。長野県東部・南佐久郡小海町の農産物直売所で販売されている。同町のふるさと納税返礼品にも。 地衣類が、こんなに人間の暮らしに密着していたとは......。 今回の企画展ではほかにも、地衣類とはどんな生きものなのか、動物と地衣類のかかわり、地衣類の研究、茨城県の地衣類...様々な視点から地衣類について学ぶことができる。 茨城県自然博物館によると、地衣類のみでこの規模(400平方メートル)の企画展は全国初。 同館館長の「あまり知られていない身近な自然物も企画展で取り上げること」が博物館の使命のひとつであるという考えと、企画展チーフの「地衣類をやりたい」という思いがちょうどタイミングよく一致したということで開催されたそう。 この機会を逃してしまうのはもったいない。「地衣類」に興味がある人も今はない人も、足を運んでみては? 記者は博物館を出た後......ついつい外で地衣類を探しちゃうようになった。恋かもしれない。 入館料は一般750円(満70歳以上370円、高校・大学生460円、小・中学生150円)。月曜休館。