「満員バスで立つ私のカバンが、座席の女性の顔の前でブラブラ。当ててしまわないよう気を付けていたら『兄ちゃん...』」(大阪府・40代男性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Nさん(大阪府・40代男性)
当時高校生だったNさんは、満員のバスに乗って学校へと向かっていた。
立ってつり革につかまる彼の腕には、教科書がずっしり詰まったカバン。それがちょうど目の前に座る女性の顔のあたりで揺れてしまうので、持ち直したのだが......。
<Nさんの体験談>
今から26年前、当時高校2年生でした。
普段、学校へは片道10キロの距離を40分ほどかけて自転車で通学していたのですが、ある日、部活が終わって帰ろうとしたら、自転車のタイヤの空気が抜けていました。
空気入れを使ってみたのですが、空気が抜けていくのが分かる状態。完全にパンクしていたのです。
だからその日と次の日は、バスと電車を使うことになりました。
ブレーキの度にカバンが顔に当たりそうで...
パンクが分かった翌日は雨で、枚方から乗った高槻行きのバスは、ぎゅうぎゅう詰め。
だから、持っていた傘で周りの人を濡らさないように気を付けながら、カバンも邪魔にならないように持たないとダメだと思いました。
最初は吊り革に掴まっている腕にカバンを引っ掛けていたのですが、そうすると目の前に座っている女性の顔の前でカバンがブラブラと揺れてしまう状態に。
バスがブレーキを踏む度に、女性の顔に当たるんじゃないかと心配になり、今度はカバンを吊り革と一緒に握って揺れても顔に当たらないように持ち直しました。
しかし、教科書が入ったカバンはなかなかの重量で、握力の限界が近くなってるのが分かります。
私が降りるバス停までは、まだ15分くらいありました。
「兄ちゃん、カバン...」
力を入れ続けていたため、だんだんと汗も落ち始めたところ、正面の女性が私のカバンを引っ張りました。
「兄ちゃん、カバン重たいやろ?ここに置いてええから」
彼女はそう言って、自分の膝の上に私のカバンを置こうとするのです。私は「そんな、悪いです。教科書いっぱいで重いのに」と言ったのですが、
「遠慮したら、あかんよ!混んでて大変なんやからお互い様やで!」
と言ってくれました。
雨で濡れていたカバンのせいで、彼女のスカートも濡れてしまったのではないかと思います。
降りる時に「ありがとうございました、本当に助かりました」と感謝の気持ちは伝えましたが、改めて感謝の気持ちを伝えたいです。
高校3年間でたった一度だけの電車バス通学で体験した、いい思い出です。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)