夢は、県民総「AI人材」化!? 「データサイエンス教育」への挑戦が、広島の未来を切り拓く
2022.03.14 12:00
提供元:広島県
「商船」の専門家がAI人材を育成?
これまで「ひろしまQuest」では、メインとなるAI開発コンペティションとして「プロ野球の配球予測」や「レモンの等級判定」などにチャレンジ。同時に、SIGNATEが運営するAI学習プログラム「SIGNATE Quest」を使ったe-ラーニングを無償提供し、AIプログラミング未経験の初心者から経験者までレベルに合わせて、時間や場所に囚われず自学自習できる環境を用意している。
さらに、より実践的にAI技術やデータサイエンスを学べる「ハンズオン勉強会」も開催。これは、専任講師によるグループワーク形式の演習だ。単なる座学ではなく、AI技術やデータサイエンスをより実践的に学ぶ内容になっている。
これだけ聞くと、なんとなく一般人とは縁遠い講座のような印象だが、そんなことはない。参加者の大半はAI技術についてほとんど何も知らない人たちなのだ。大学生から社会人まで様々な立場の人が集まり、年齢層もデジタルネイティブ層~50代と幅広い。
そのハンズオン勉強会で2021年度に教鞭をとったのが、広島商船高等専門学校・商船学科の教員である岸拓真(きし・たくま)先生だ。
広島商船高専では主に船舶や船員養成、海洋空間といった分野に関わる学問を教えているという岸先生。一見AIとは関りがなさそうだが......どんな経緯でAI人材育成プロジェクト「ひろしまQuest」に協力することになったのだろう。
「私はもともと、東京海洋大学大学院で商船学を勉強していました。加えて、『海洋構造物(海に浮かんでいるものすべて)の運動』や『海洋空間をどのように利用するか』といったことについて議論する海洋工学の勉強もしていました」(岸先生)
「海洋」や「気象」といった分野には膨大な観測データがあり、岸先生はそうしたデータの統計や数値解析をしていたという。
「データサイエンスが台頭している中で、統計情報をしっかりと活用していくことは、海洋空間の利用や物流といった分野でも欠かせないこと。こうした『データサイエンスの重要性』をダイレクトに伝えられる存在として、AI人材育成に関わっています」