デスクワークのストレスは、農作業で発散! 岡山・矢掛町に誕生する「半農半IT」サテライトオフィスの魅力とは
歴史かおる文化の町
橋本さんの話を聞いた後、記者は矢掛町の中心部にある「矢掛商店街」に足を運んだ。
オフィスの周りは自然豊かで、のどかな田園風景が広がっていたが、こちらにはかつて宿場町だったころの街並みが残っていて、歴史と文化を感じさせる。
かつて参勤交代で往来する大名行列が宿泊した「旧矢掛本陣石井家住宅」や「旧矢掛脇本陣高草家住宅」(高ははしごだか)も、往時の姿のまま残っている。どちらも国の重要文化財に指定されている貴重な建物だ。
矢掛町公式観光サイト「やかげ観光ネット」によると、主に大名など位の高い者が泊まる「本陣」と、本陣に入りきらない随員が泊まる「脇本陣」の両方が重要文化財として残っているのは、日本では矢掛町だけだという。いずれも入館料を払えば内部を見学することができる。
本陣・脇本陣以外にも、矢掛商店街には江戸時代の古民家を改装した店舗や施設が多くあった。
散策中に立ち寄ったカフェ&雑貨のお店「シーズ藤原家」も古民家をリノベーションして作られている。
店内も昔ながらの木造建築といった内装で、歴史的な矢掛町らしい雰囲気。お店では喫茶店の営業のほか、店主夫妻が日本全国を巡って収集したという、各地の職人の手による雑貨や工芸品の展示販売もされていた。
ちなみに、この日の矢掛町は日差しこそ強くないもののかなり蒸し暑かったのだが、汗っかきな記者が汗だくになりながら店内を撮影していると、女将さんが「大丈夫? これ飲みなさい!」と冷たい氷水を持って来てくれた。
「矢掛町の人は外からやってくる人も快く受け入れてくれる」という橋本さんの言葉を実感する一幕だった。ありがとうございます、女将さん。お陰様でその後の取材も無事に進められました。
古い建物や町並みが印象的な矢掛商店街だが、新しくできた施設もある。
矢掛町を東西に分けるように流れている小田川沿いにあるのは、今年の春にオープンしたばかりの道の駅「山陽道やかげ宿」。
「道の駅」と聞くと、地元の物産を販売していたり食事処が併設されていたりするイメージがあるが、「山陽道やかげ宿」は矢掛商店街の街並みを楽しんでもらうため、あえて物販や飲食コーナーなどを設けていない珍しいスタイル。
1階には観光案内のためのパンフレットや映像機器が備わっているほか、矢掛町内で販売されている土産物や物産の「展示コーナー」があった。
いわば、商店街自体が大きな「物販コーナー」で、道の駅で気になった物があれば商店街のお店に足を運んでみてね、ということのようだ。
また、2階部分には、建物をぐるりと一周するようにデッキが作られていて、小田川や矢掛商店街を見下ろせる開放感あふれる空間になっている。
記者が訪れた日はやや曇り空だったのが残念だが、見晴らしは抜群だった。
矢掛町に来たらまずは道の駅に立ち寄って情報を集め、上から町の様子を眺めてから散策に向かうのがオススメだ。
矢掛商店街には他にも様々な商店や施設が軒を連ねており、商店街を歩くだけでも十分に観光を楽しむことができる。
備品の電動自転車を利用すれば、オフィスからすぐに足を延ばせるので、平日は農業とオフィスワークをこなし、休日は矢掛町観光を楽しむというワーケーションスタイルを実現することもできるだろう。
今後、コロナの影響によってはテレワークや地方移住の需要がより高まることも考えられる。地方のサテライトオフィス利用を検討している企業や事業者は、一度矢掛町の魅力を体感しに行ってみてはいかがだろう。
里山田サテライトオフィスについてのウェブページ(矢掛町公式サイト内)はこちら。また、Facebookページでは、モニター体験者のコラム等も公開されている。
<企画編集・Jタウンネット>