デスクワークのストレスは、農作業で発散! 岡山・矢掛町に誕生する「半農半IT」サテライトオフィスの魅力とは
心身ともに健康で豊かな働き方を
記者が在宅勤務を続ける中で感じているメリットは、通勤時間がないこと。朝、家から出て駅に向かい、たくさんの人々と一緒に電車に揺られ、そして駅から会社に向かう。帰りはその逆だ。これがないだけで、時間にも体力にも余裕ができる。
一方で、家と会社との往復がなくなったことで、運動不足になっていると感じることもあるし、また、「仕事とプライベートの区別が曖昧になる」といったデメリットもある。
これらの長所・短所に対して、「里山田サテライトオフィス」が提案するのは、田園風景に囲まれた立地を生かした「テレワーク×農業」というスタイルだ。
静かで落ち着いた環境で仕事をしつつ、オフィスに併設された畑での農作業を行うことで、運動不足やストレスの解消、デジタルデトックスに繋げ、心身ともに健康で豊かな働き方の実現を目指す。
岡山県の南西部に位置し、周囲を山々に囲まれた盆地である矢掛町は、江戸時代に旧山陽道の宿場町として栄えた。「里山田サテライトオフィス」は、そんな矢掛町の中心部から、自転車で15分ほどの場所にある。
岡山県道64号を挟んだ向かい側には、広い田畑や山々が広がる。建物は、かつて個人の住宅だった古民家を活用したもので、「オフィス棟」と、オフィスを使う人たちやその家族が居住する「居住棟」の2エリアに分かれている。
記者が今回体験利用したのは、敷地の門の藍染め暖簾をくぐるとまず見えてくるオフィス棟。コワーキングスペースはスクリーン・プロジェクター・50型のテレビを備えており、椅子やテーブルなどの備品も自由に利用できる。
コワーキングスペースの隣は執務スペース。仕切りによって区切られたデスクがあり、最大6人が業務を行える。洗面所とトイレもこちらに配置されていた。
また、正面玄関を入って直進した場所はカフェスペースとなっており、アイランドキッチン・冷蔵庫・オーブンレンジ・コーヒーメーカー・ソファなどが完備されている。ワイヤレススピーカーも置かれていたので、仕事の休憩時間などに音楽を聴きながらゆっくりとカフェタイムを楽しむこともできそうだ。
ちなみに、オフィスで使用する事務機器・備品などを購入する際は、費用の75%を町からの補助金で賄えるので、色々と気軽にカスタマイズも可能だ(上限は750万円、予算の範囲内による)。
そして、なんといっても特徴的なのが敷地内にある農地。
およそ300平方メートルあるというこの畑で、育てたい作物を自由に育てることができる。
このほか、電動自転車も備品として置かれる予定。オフィス利用者は自由に乗ることができるので、街への足に使うもよし、仕事の合間に周辺の田んぼ道などを走って気分転換するもよしだ。