頭おかしいのはそっちでしょう!
その数カ月後。やはり夜、今度はチャイムではなく、ドアをガンガン叩く音が響きました。ノックとかではなく、力任せに殴っているとしか思えない凄い音です。びっくりして出ると、やはり隣室の男性です。
「いいかげんにしろよ! あれだけ言ったのに壁をまたどんどん叩きやがって。頭おかしいんじゃないか」
おかしいのはそちらでしょう――という言葉が口から出かかるのを我慢して、再度努めて冷静に、そんなことはしていません、と説明しました。1時間は話し合ったでしょうか。それでも、相手はわかってくれません。