「若者が集まる離島」海士町が目指す、さらなる「教育改革」とは
離島にして最先端を歩む高校はどんなところ?
1955年に設立された島前高校。生徒数約150名の小さな学校ながら、卒業生39名中13名が国公立大学や早慶など難関大学へ進学する(2013年度実績)。ところが2008年の在校生数は90名を下回り、廃校の危機に瀕していた。
町長は、当時を次のように振り返る。
「高校ができたときは皆喜んでいたんだけど、徐々に生徒が減っちゃって。そうすると競争が起きないから、優秀な子供から島外の高校に進学し、人口が減るという悪循環が続いていた」
子供に仕送りする余裕のない家庭だと、一家総出で島を出るというケースは珍しくない。入学してくださいと頭を下げたところで、「そんな学校は嫌」というのは誰もが同じ。島前三島から同校へ進学する率は45%しかなかった。
生徒が入学したくなる学校にするしかない。足りないなら島外から生徒を呼ぼう――島前高校や地元自治体、教育関係者は「高校魅力化プロジェクト」に着手する。
「地域起業家を育てる」「島全体が学校、社会の縮図」をスローガンに、グローカル(グローバル+ローカルのバイリンガルという意味)な考え方を育てる独自科目を設けたり、国内外の専門家を招いて対話の場を設けたり、少人数で価値観が同質化しないよう留学生を招いた。
外から人を招くだけではない。修学旅行先であるシンガポール国立大学で、プレゼンテーションさせるようなことにもチャレンジしている。