拝殿には謎の〝青ダヌキ〟 岡山・総社市にある「魔法神社」がマジカルすぎる
ヨーロッパからやってきた!?
Jタウンネット記者が岡山県総社市役所に確認してみると、観光プロジェクト課の担当者が取材に応じ、総社市のYouTube「総社観光情報 そうじゃTVチャンネル」の中に、「総社伝説絵巻3 魔法様伝説」というコンテンツがあることを教えてくれた。
この動画の種本は、楢崎頼久著「備前加茂化生狸由来記」(1849年、嘉永二年)ではないか、とのこと。この動画では、「キュウモウ狸」を次のように解説している。
「今から400年ほど前の室町時代の末の頃、ヨーロッパとの交流が盛んになって、大勢の宣教師が日本にやってきた。『キュウモウ狸』も船に紛れてヨーロッパから日本に渡ってきた」
「日本中はあちこち放浪した末に備前加茂郷の廃抗に住みついた。人に化けることができたが、口はとんがり髭が濃かったのですぐたぬきだと分かったそう。日頃は人に化けて田植えや草刈りの手伝いをしたり、盆踊りの輪に入って踊ったり木の葉のお金で買い物をしたりと人間と同じように暮らしておった」
「ある時『キュウモウ狸』が村を訪ね、長いことお世話になったので、今後は牛や馬の難儀を救ったり村に起こる災難を予言して、村人のために尽くしたいと思うと神妙に言った。それを聞いた村人はこれを徳とし魔法神社としてお祀りした」(「総社伝説絵巻3 魔法様伝説」より)
室町時代の末の頃、ヨーロッパ(?)からやってきた「キュウモウ狸」とは、いったいどんな存在だったのだろう? 薬草等の知識に富み、牛馬の治療にも長けていた? 口はとんがり髭が濃かった? 「もしかして、西洋の魔法使いが......?」なんて、いろいろ想像をふくらませたくなるが、残念ながら謎は謎のままだ。
もちろん諸説あり、地元の資料によれば、そばに摩利支天の社があることから「摩」利支天の「法」が変化したものとも伝えられている。
魔法神社境内には、立石(写真上)があり、そこには、明治二十八年の日付が書かれている。牛馬を守る神として崇敬され、元々は別の場所にあったものを現在の場所に移転したのではないかとも言われているそうだ。魔法神社へは、市外の家畜市場からも参詣があったとされている。
総社市役所担当者は「魔法神社は地元の方たちが長年大切に守られてこられた神社です。お越しの際には、ぜひ豊かな自然の中で地元の歴史や伝統に思いを馳せていただけたらと思います」とコメントした。