「19歳、怖いもの知らずのド派手ギャルだったあたし。だけど乗る新幹線をミスって号泣...そしたら隣のおじさんが」(静岡県・40代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Eさん(静岡県・40代女性)
19歳のEさんはその日、遅い時間帯の新幹線で名古屋から実家のある静岡へ帰ろうとしていた。
しかし新幹線に乗るのが初めてだったせいで、静岡を通過する「のぞみ」に乗車してしまい......。
<Eさんの体験談>
時はコギャル全盛期。 キャミソールに短パン、おもちゃの様なアクセサリーをいっぱい付けた、怖いもの知らずの19歳のあたし。
その日は、遅い時間の新幹線で名古屋から実家のある浜松へ向かおうとしていた。駅の改札で彼氏に見送ってもらい、ホームでは一人。新幹線が来たので、乗り込んだ。
その後のことは、忘れもしない......。あたしは28分発の「こだま」に乗るはずだったのに、27分発の「のぞみ」に乗ってしまっていた。
目的地に近付いているのに、減速しない!
新幹線に1人で乗るのは初めて。まず乗り込んだのはグリーン車で、そのことに気付かず「あれ?超席あいてんじゃん。新幹線なんて余裕~!」なんて思い足を組んで座る。
しばらくして車掌さんが確認に来て、自由席に行かされた。そりゃそうだ。
車両を移ってドスンと座ったのは、スーツのおじ様の隣の座席だった。
その席であたしは不安になった。新幹線は浜松に近付いているのに減速しなかったからだ。
そこで表示を確認すると、名古屋の次は横浜だと書いてあった。あたしはようやく気がついた。
「コレ、浜松停まらない!!」
気づき、絶望、そして号泣
「コレ、のぞみじゃね?あたしが乗るのと違うくね?横浜って。。。遠! 行き過ぎじゃね?もう電車なくね??帰れる?帰れる?? ねえー!! どーしーよー!!!」
さっきまでの威勢はどこいった?? 急に小学生のように両親が恋しくなるあたし。
手が震えた。キャミソール1枚だったけど、エアコンが寒いんじゃない。
あたしはどうしようもなく不安になり泣いてしまった。。。。
突然ドスンと偉そうに座ったカラフルなギャルが今度は急に泣き出したもんだから、隣の席のおじさんはそりゃービックリ。
「どうしたの?大丈夫?」
と話しかけてきた。
「彼氏と喧嘩したの?」
もう頭真っ白になったあたしは「彼氏が!28分って言ったのに27分で!!」って泣きながら言った。
そしたらおじ様は「彼氏と喧嘩したの?」。
「ちがう 、27分のっちゃって」......そんな風に泣きながらたどたどしく説明するあたしの話を、おじ様は一生懸命理解しようと聞いてくれた。
ネットなんてまだまだ普及していない時代だから、次の電車の時刻なんて自分で調べるしかない。
あたしはパニックに震えるあまり、「横浜」という感じすら書けなくなってしまっていた。
そんなあたしを見ておじ様は一緒に横浜で降りてくれた。
横浜で降りた後も、涙はとまらなくて...
横浜で実家に電話したけど、あたしは泣いてうまく話せない。だから、おじ様がかわりに事情を説明してくれた。
それだけじゃなくて、泣き止ませようと落ち着かせてくれた。飲み物も買ってくれた。それに、帰りの電車の切符も買ってくれた。
あたしは何度も何度もお礼を言った。名前だって聞こうとしたけど、おじ様は「名乗る程の者じゃないから」と笑ってた。
そして「この電車に乗れば帰れるから」と丁寧に書いた紙を渡してくれて改札口でサヨナラ。
その後は今度こそ間違えないようにってドキドキしながらホームで電車を待っていたら、さっきのおじ様が戻ってきてあたしに言った。
「やっぱりちゃんと電車に乗るまで心配で」
「まだまだガキだ~!」
そして、あたしが乗る電車がホームにやってきた。乗車してから笑顔でおじ様に手を振ると、おじ様もずっと手を振ってくれた。
名前は聞けずじまいだったけど、ホントにありがとう。
駅に着くと、改札口で両親が待ってた。「あたしはまだまだガキだ~!」と痛感した。
今でも新幹線に乗る時は間違えないかドキドキする。そして、おじ様のことを思い出す。
もう顔も覚えてないし、この先すれ違う事も無いだろう人だけど、ずっと忘れない。
ずっとずっと、ありがとう。
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