「路上で頭から流血しながら『救急車は呼ばないで!』と叫ぶ私。突如現れた見知らぬ男性の車に乗せられ...」(兵庫県・40代女性)
2022.08.09 11:00
「このまま山に捨てられたらどうしよう...」
「僕が彼女を病院まで送ります」
紳士が放ったその言葉は、混沌を極めていた現場には渡りに船だったようで、周りの人がいそいそと私を支え、問答無用で紳士の車の助手席に乗せられました。
正直、車の中で何か話したかは全く記憶がありません。
ただ、今思うと失礼極まりない話ですが、「知らない女子高生を車に乗せるとか...このまま山に捨てられたらどうしよう...」などと妄想したのは覚えています。
そんな妄想をよそに、車は無事に市内の総合病院へ。
私は車椅子に乗せられて、処置室へ運び込まれました。頭を5針縫う怪我でした。
後から聞いた話ですが、病院に駆けつけた私の親と、男子高校生の両親がその紳士にお礼を伝え、改めてお礼にうかがいたいのでお名前と連絡先を教えて頂きたいとお願いしたら
「名乗るほどの事はしていません」
と答えたそうです。何でも、その紳士も昔、事故に遭った時に通りすがりの見知らぬ方に助けてもらったのだとか。
私の事故も最初は横目に通り過ぎたそうですが、自分が過去に助けて貰った事を思い出し、引き返してくださったそうです。