「電車の中で立てなくなり、視界は真っ暗。その時どこからか『おいでおいで』と声が聞こえて...」(千葉県・20代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Rさん(千葉県・20代女性)
梅雨のある日。電車に乗っていたRさんは、急に体調を崩してしまった。
扉の横に寄りかかり、なんとか持ちこたえようとしたが、ついには耐えられなくなりその場にしゃがみ込んでしまう。
すでに視界は真っ暗になっていた。そんな彼女の耳に「おいでおいで」と呼ぶ声が聞こえてきたという。
<Rさんの体験談>
数年前の梅雨のある日、私は都内に向かう快速電車に乗りました。
雨の日で、混雑した車内には湿った空気が充満。そんな中で、私は軽く脱水を起こしたのか、気分が悪くなってしまったのです。
声がして、周囲を見渡すと...
快速電車のため一駅ごとの距離が長く、途中下車しようにも次の駅はまだしばらく先。扉の横のスペースに寄りかかっていたのですが、その内に立っていることもできなくなり、しゃがみ込んでしまいました。
うずくまっていては周りの人に心配される――そう思い、せめて顔だけは上げて平気なふりをしようとしました。でもその時にはもう、視界が真っ暗になっていたのです。
そんなとき、どこからか声がしました。
「おいでおいで」
私を呼んでいるようでした。
周囲を見回すと、目の前に1本の道ができているのがボンヤリ見えます。立っていた乗客の人たちがみんなで開けてくれた道でした。
その場にいたみんなが...
ふらふらして何も考えられないまま何とか立ち上がり、その道を歩いていくと、着いたのは優先席。
席をひとつ、空けてくれていたのです。
「もう、座り込んじゃっていたからさ、心配でさ」
席に座らせてもらい楽になるのを待っていたら、そんな年配の男性の声が近くから聞こえました。
おそらく、私の異変に気付いた方がいて、他の乗客の皆さんにそのことを知らせてくれたんだと思います。
そしてきっと、あの場にいた皆さんが、協力して動いてくださったのだと思います。
その時は体調が悪いあまり、何も考えられませんでしたが、後から思い返してなんて有難いことだったのかと思いました。そして、皆さんにきちんとお礼を言えなかったことを心から悔やみました。その後悔が、忘れられずにずっと残っています。
あの場にいたすべての方に今も心から感謝しています。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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