「息子が粗大ゴミを倒し、道にガラスの破片が散乱。ベビーカー片手に立ち尽くす私に見知らぬおじさんが...」(東京都・30代女性)
朝の人通りの多い道で、大迷惑をかけてしまった――東京都在住のFさん(30代女性)はある朝起こった出来事を、そう振り返る。
彼女が下の子を乗せたベビーカーを押しながら、年長の長男を幼稚園に送っていたときのこと。粗大ゴミとして路上に置かれていたガラスのテーブルに長男が引っ掛かってしまい......。

<Fさんの体験談>
長男が年長だったころ、下の子を乗せたベビーカーを押しながら、路線バスを使って幼稚園に連れて行っていました。
降りるのは大勢の人が乗降する大きな交差点にある停留所。その日もいつものようにバスを降りたのですが、10歩ほどのところで背後から
「ガッシャーン! バラバラバラ......」
と明らかに何かが割れた音がしました。
歩道いっぱいに細かいガラスが散乱して...
振り返ると、道端に粗大ゴミとして置かれていたガラスのテーブルが倒れ、粉々に割れていました。
ベビーカーを押す私の真後ろを歩いていた長男がテーブルの脚に引っかかり、倒してしまったのです。
テーブルの脚は道にはみ出していて、ベビーカーは避けて通らなければならない状態だったので後ろに続く長男に注意喚起すべきでした。後悔しましたが、時すでに遅し。
テーブルのガラスは粉々になるタイプで、結構幅のある歩道いっぱいにザザーッと散乱してしまいました。

時刻は朝の9時。
複数路線のバス停の目の前で、自転車も歩行者も多い時間に、大迷惑をかけることになってしまいました。
電話しようと思ったけど、止められて...
通行人は自転車を降りたり、つま先歩きをしたり。そんな中で、ベビーカーを押した外国人ママが目の前のマンションの電話番号が書かれた看板を指さしました。
確かに、ここの住民が出した粗大ごみの可能性が高いです。彼女にお礼を言って連絡しようとすると、50代か60代くらいの男性が声をかけてきました。
「そこじゃダメだろ」
とはいえどうするべきか私にはわかりません。「道路のことなので警察かな」と考えて電話をかけ始めたところで、先ほどの男性が隣のコンビニからほうきを持って出きて、黙ってガラスを掃き始めました。

その後、彼は「もう大丈夫」と言って、再度コンビニへ。
店員さんだったのかと思ったのですが、またすぐに出てきて、お礼を言う私たちを通り過ぎて人ごみに紛れて信号を渡って行かれたのです。
お礼を言うため、追いかけると...
「え! 通りすがりの方だったのか!」
そう気がついた私は、ベビーカーを長男に預け、再度お礼を言いに走りました。
その方は何もおっしゃらず、ただ少し手を挙げて行ってしまわれました。

ベビーカーを片手に幼児と立ち尽くしていた母親を助けてくださった彼に、もう一度きちんとお礼をお伝えしたいです。
大変迷惑な状況の中で掃除をしていたら、その人がやったのだと思われてしまう可能性もあります。それなのに、自然に、当たり前のように、素早い的確な判断で対処してくださり、本当に嬉しく、有難かったです。そのお心と勇気に本当に感謝しています。
長男とはその後もその場所を通る度に「助けてもらったねー」と話しています。
子供たちにも、彼のようなことが出来る人間に育ってほしいと思います。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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