食虫植物に食べられながら「ハイ、チーズ!」 姫路・手柄山中央公園がちょっと不思議で妙に楽しそう
「ウツボカズラ」という植物、ご存知だろうか?
東南アジアの熱帯地区に広く分布する食虫植物だ。丸くふくらんだ袋と、漏斗型の袋の2種類の補虫袋を付けているのが特徴だという。「あー、アレね」と思った読者もいるだろう。
それでは、「ハエトリソウ」はいかがだろう? こちらは、北アメリカ原産の食虫植物で、昆虫など獲物が来ると、トゲトゲのついた葉を素早く閉じて捕食する。
実際に見てみたい人、多いかもしれない。
そんな食虫植物たち捕食されている気分になる「顔出しパネル」の写真が、2022年3月29日ツイートされ、話題になっている。
手柄山温室植物園という、兵庫県姫路市にある植物園の中に設置されていたものらしい。
投稿者の「博物月報」(@hakubutu)さんは、「『虫』の気分になれることうけあいだった」というコメントを添えている。
こんな一風変わった顔出し看板を作る植物園とは、どんな施設なのだろう。
Jタウンネット記者は投稿者「博物月報」さんと、手柄山温室植物園に取材してみた。
ウツボカズラだけで80種類以上!
「ミュージアムのおもしろさ、奥の深さを本にして伝えたい」と『親子で楽しむ!歴史体験ミュージアム』(朝日新聞出版)などの著作を発表している博物月報さん。
冒頭の写真を撮影したのは、10年近く前で、2012年の秋だったという。看板のあった場所は、「温室を出たあたりです」と答えた。
「博物月報」さんに、手柄山温室植物園の特徴について尋ねると、次のように話してくれた。
「手柄山温室植物園には、玉ネギのようにも見えるユニークな外観の温室があります。トックリヤシ、ガジュマル、砂漠のサボテンなどが熱帯ムードを楽しませてくれます。看板のモデル(?)である、ウツボカズラやハエトリグサも『食虫植物コーナー』で見ることができます」(「博物月報」さん)
不思議な見どころいっぱい
次に、Jタウンネット記者は手柄山温室植物園に電話取材した。取材に応じてくれたのは、副園長の山田宏樹さんだった。
「当園は、ウツボカズラだけで80種類以上揃えています。食虫植物は、子どもたちに人気があるんですよ。 ハエトリソウなどは実際に動くところも見ることができまるのが、人気の理由でしょう。教育と観光の融合、それが当園の特色です」(山田副園長)
顔出しパネルも、「お子さんや若者に人気があります」と、山田さん。いわゆる「ばえる」スポット、記念撮影ポイントとして、人気が高いそうだ。
公園内には温室植物園だけでなく市立水族館や、1966年の「姫路大博覧会」の開催に合わせて登場したモノレールの車両と「手柄山駅」を展示施設として保存した「手柄山交流ステーション モノレール展示室」、西洋の城のような外観で内部は迷路のようになった「スリラー塔」といったユニークな施設もある。また、近未来的なヴィジュアルの「回転展望台」は閉鎖され立ち入ることはできなくなったが、公園のシンボルとして残されており、「手柄山中央公園もなかなか楽しい穴場だと思います」と博物月報さん。
姫路市を訪れたら、お城だけで満足して帰らないで、こちらにも足を伸ばしてみてはいかがだろう?
手柄山中央公園までは、姫路駅から車やバスで5分、歩いても20分弱。姫路のシンボルである姫路城と、駅を挟んで反対側にある。