「店でいちばん安いメニューを、3年間毎日頼み続けた大学生時代。そんな私にある日、店の奥さんが...」(東京都・50代男性)
ラーメン300円、チャーハン350円
30年以上前、千葉県の大学に通っていた私は、古いアパートで一人暮らししていました。
そのアパートと大学のちょうど中間に、「二番館」という小さなラーメン屋さんがありました。私は毎日、昼食をそのお店で食べていました。
ラーメンが300円、チャーハンが350円。このお店で特に安いメニューです。
くる日もくる日もこれら2つのメニューを代わりばんこに食べ続けて、3年が過ぎたある日。
ガランとしたお店のカウンター席に座り、私はいつものようにラーメンを注文しました。
ご夫婦で営まれていたこのお店の奥さんは、普段と変わらない様子で注文を受けると厨房に入り、ご主人とほんの二言三言、会話を交わしました。そして、この日もいつもと変わらないタイミングで、私の目の前にラーメンのどんぶりが運ばれてきました。
――それは300円のラーメンではなく、山ほどの具がのった広東麺でした。