「東京出身の私にはありえない」 トラブルに見舞われた若者たちに「大阪のおっちゃん」が手渡したモノ
「兄ちゃん、パンツ一丁でなにしとるん?」
2003年11月3日。当時学生だったKさんは、41年ぶりに行われた阪神タイガースの優勝祝賀パレードを見に大阪を訪れていた。
「熱狂的な虎党の私は、東京から身一つで夜行バスにのって大阪へ。パレードの時間が近づくにつれて、大阪到着時はたいして降っていなかった雨が段々と強くなってきました。
チームの監督・コーチ・選手をどうしても目の前で見たいとの一心で観覧エリアの前の方に陣取っていた私は、傘も雨合羽も買わず、雨も気にせずにパレード開始を待っていました」(Kさん)
雨の中パレードを満喫したKさん。目の前で監督や選手が手を振るのをみて、大満足だったという。
しかし、さすがに全身ずぶ濡れのまま過ごすわけにもいかない。そう思った彼は、通天閣近くのコインランドリーに入った。
上着やズボンなどを乾燥機に入れ、パンツ一丁の状態で服が乾くのを待っていたKさん。その時、コインランドリーに1人のおじさんが入ってきた。そして、Kさんを見て一言。
「兄ちゃん、パンツ一丁でなにしとるん?」
「少しだけど、これ足しにしてやー」
おじさんに聞かれたKさんは、「東京からパレードを見に来たんですが、傘もなかったので服を乾かしているところです」と正直に事情を説明。するとおじさんは、
「おっちゃんはテレビで見てたからなー。そうかー東京からよう来たな~」
と言ってポケットから500円を出し、「少しだけど、これ足しにしてやー」と、それをKさんに渡してそのまま立ち去っていったそうだ。
「おそらく自分がコインランドリーで使用するお金だったと思われますが、そのお金を自分にくれたのだと思います。乾燥中の1時間ほどの間、おっちゃんが戻ってくることはありませんでしたが、とてもほっこりした気持ちになったのを覚えています。
今でも甲子園には年に2~3試合観戦しにいってますが、通天閣が見えるたびにこのことを思い出します」(Kさん)
もう会えないかも知れないのに、気前よくRさんにバス代を渡してくれたおっちゃん。自分が使うはずだった洗濯代を、見ず知らずの学生のKさんに快く渡してくれたおっちゃん。2人の「大阪のおっちゃん」のおかげで、RさんもKさんも大阪での良い思い出ができたようだ。
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