「東京出身の私にはありえない」 トラブルに見舞われた若者たちに「大阪のおっちゃん」が手渡したモノ
初めて歩く道で迷う、お金が足りなくて電車やバスに乗れない、突然の天候不良で服や持ち物がずぶ濡れに――。
外に出るとそんなトラブルに見舞われることがある。住み慣れた地元ならそれほど困らない場合もあるが、旅先の見知らぬ土地でこうなると大変だ。
「東京出身の私にはありえないできごとでした」
Jタウンネット編集部にそんなメールを寄せたのは、40代の読者・Rさん(女性・会社員。以下仮名)だ。
若い頃、仕事のために訪れた大阪で、彼女はあるトラブルに見舞われる。
そんな時に手を差し伸べてくれたのは、見ず知らずの地元民だった。
「今度おーたときに返してな」
それは今から20年以上前のこと。仕事で大阪に滞在中だったRさんは、ある日空港近くのホテルからバスを使って繁華街の難波まで出かけた。しかし......。
「私は、当時はお財布を持たずにジーンズのポケットにお札と小銭を入れるスタイルででかけていたのですが、街を散策中にお札を持っていないことに気づきました」(Rさん)
このままでは帰りのバス代がなくてホテルに戻れない。困り果てる彼女を見かねてか、見知らぬおじさんが声をかけてきたという。
「ねーちゃんどーした?」
Rさんは事情を説明した。するとおじさんは
「今度おーたときに返してな」
とRさんにバス代を渡し、あっという間にその場を去っていった。名前を聞く暇もなかったそうだ。
「東京出身の私にはありえないできごとでしたが、『おせっかい』と言われる大阪人の、最高級の親切だったと思っています」(Rさん)
そんな「大阪人のおせっかい」にほっこりしたことがあるのは、Rさんだけではない。
東京都在住のKさん(40代男性)からは、こんなメールが届いた。
「兄ちゃん、パンツ一丁でなにしとるん?」
2003年11月3日。当時学生だったKさんは、41年ぶりに行われた阪神タイガースの優勝祝賀パレードを見に大阪を訪れていた。
「熱狂的な虎党の私は、東京から身一つで夜行バスにのって大阪へ。パレードの時間が近づくにつれて、大阪到着時はたいして降っていなかった雨が段々と強くなってきました。
チームの監督・コーチ・選手をどうしても目の前で見たいとの一心で観覧エリアの前の方に陣取っていた私は、傘も雨合羽も買わず、雨も気にせずにパレード開始を待っていました」(Kさん)
雨の中パレードを満喫したKさん。目の前で監督や選手が手を振るのをみて、大満足だったという。
しかし、さすがに全身ずぶ濡れのまま過ごすわけにもいかない。そう思った彼は、通天閣近くのコインランドリーに入った。
上着やズボンなどを乾燥機に入れ、パンツ一丁の状態で服が乾くのを待っていたKさん。その時、コインランドリーに1人のおじさんが入ってきた。そして、Kさんを見て一言。
「兄ちゃん、パンツ一丁でなにしとるん?」
「少しだけど、これ足しにしてやー」
おじさんに聞かれたKさんは、「東京からパレードを見に来たんですが、傘もなかったので服を乾かしているところです」と正直に事情を説明。するとおじさんは、
「おっちゃんはテレビで見てたからなー。そうかー東京からよう来たな~」
と言ってポケットから500円を出し、「少しだけど、これ足しにしてやー」と、それをKさんに渡してそのまま立ち去っていったそうだ。
「おそらく自分がコインランドリーで使用するお金だったと思われますが、そのお金を自分にくれたのだと思います。乾燥中の1時間ほどの間、おっちゃんが戻ってくることはありませんでしたが、とてもほっこりした気持ちになったのを覚えています。
今でも甲子園には年に2~3試合観戦しにいってますが、通天閣が見えるたびにこのことを思い出します」(Kさん)
もう会えないかも知れないのに、気前よくRさんにバス代を渡してくれたおっちゃん。自分が使うはずだった洗濯代を、見ず知らずの学生のKさんに快く渡してくれたおっちゃん。2人の「大阪のおっちゃん」のおかげで、RさんもKさんも大阪での良い思い出ができたようだ。
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