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足元から始まる「スマート農業」 広島のこまつな畑で「自動搬送ロボット」が走った日

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2021.10.08 15:00
提供元:広島県

「こんなに簡単に組み立てられちゃうんですね!」

8月某日のこまつな農場――。

病害虫の防除や収穫の省力化の実証実験で利用する、CuboRexの自動搬送ロボット(クローラロボット)の試走があると聞いて、記者も同行した。今回は、同社の電動クローラユニット「CuGo(キューゴー)」を活用するという。

現地に行って、驚いた!

てっきり完成品が持ち込まれるのかと思っていたら、とかれた荷からあらわれたのは、キャタピラ(クローラ)、アルミフレームの外装、動力源などのパーツ。まずは、ロボットの組み立てから始まったのだ!

CuGoは、レゴブロックのように組み立て可能な構造を持つ。その特長を生かして、どんな場所で使うか、なんのために使うのか――現場の実情によってカスタマイズすることができる。

クローラロボットを組み立て中
クローラロボットを組み立て中

クローラロボットはなんと20分くらいで完成。

「こんなに簡単に組み立てられちゃうんですね!」

初めて実物を目にした関係者からは、そんな声も飛び交っていた。

クローラロボットが完成!
クローラロボットが完成!
「今回はたとえば収穫時、キャタピラの上部で組んだアルミフレームの上にコンテナ(かご)を載せ、ここに人手で収穫したこまつなを入れていく使い方を想定しています。
このとき、センサーで人の動きを感知させ、自動で人に追尾させるようにしておく。すると、作業者に伴走していくので、いちいち人がコンテナを動かす必要がない、というわけです。また、自走させれば、防除剤の散布などにも活用できるでしょう」(CuboRex・寺澤さん)

一足先に来て、熱心に作業に努めていたCuboRexのエンジニア・寺澤元則さんが、少し手を止めて、こんな話をしてくれた。

それから彼は、クローラロボットの試走へ。実際に走らせながら、畑の畦(あぜ)や畝(うね)の幅や高さを確かめて、パーツの設置位置の調整を検討していた。

寺澤さん(左)。この日の試走はコントローラーでの遠隔操作。「今後、組み立ての一部を簡素化するカスタマイズがあるかもしれません」
寺澤さん(左)。この日の試走はコントローラーでの遠隔操作。「今後、組み立ての一部を簡素化するカスタマイズがあるかもしれません」

そんな様子を記者が見ていると、このクローラロボットの生みの親、CuboRex代表取締役でエンジニアの寺嶋瑞仁さんが顔をのぞかせ、

「作業者に伴走する――こうしたちょっとした工夫が、スペースが限られたハウス内での農作業をラクにすると思いませんか?」

と話しかけてくれた。

寺嶋さんによると、試走させているクローラロボットには、まだ改良の余地があるという。現時点では、事前に聞いていた課題をもとに、基本的なパーツで組み上げた「初号機」に過ぎない、と。

今後、現場の状況や課題を見極めてから、必要な機能を付け加え、完成度を高めたクローラロボットとして仕上げていく。たとえば、この日は手元のコントローラーによる遠隔操作だったが、センサーを付けて自動化/自走化させる構想だ。

試走中のクローラロボット。不整地に強い
試走中のクローラロボット。不整地に強い
「私たちのかかわるパートは、10月から実証実験を開始します。それにあわせて、広島にも仮拠点を置き、できるだけ農場に足を運びたいと思います。
そのときはぜひ、実際の農作業を見せてほしいし、できれば自分でもやってみたい。実体験がないと、現場で本当に解決すべき課題は何か、わからないからです。まあ私自身、手や足を動かすことが好きだ、ということもありますけれど(笑)」(CuboRex・寺嶋さん)

それぞれに異なる現場の実態や課題にあわせ、カスタマイズできる製品を提供する――。最高戦略責任者・羽田成宏さんは「こうした、ハードウェアなのに柔軟に対応するモノづくりは、寺嶋が大事にする考え方であり、CuboRexのスタイル」だと語る。

生産者の渡部さん(右)と話す、羽田さん(左)と寺嶋さん(中央)。寺嶋さんは、災害現場で活躍する探査機の研究経験も
生産者の渡部さん(右)と話す、羽田さん(左)と寺嶋さん(中央)。寺嶋さんは、災害現場で活躍する探査機の研究経験も
「実証実験でのねらいも、必ずしも農業の自動化だけをめざしたいのではなくて、農業の現場の困りごとに貢献したい、という思いが強いですね。だからこそ、現場をよく知りたい。こういう考えは、声をかけてくださった三栄産業の米山さん、沖川さんの姿勢にも通じるところでした」(CuboRex・羽田さん)

生産者からの期待も大きい。実証実験に協力する生産者の渡部正秀さんは、次のように話してくれた。

「少しでも農作業を省力化できると、空いた時間でほかの農作物に力を注げるようになるなど、メリットは大きいですね。それと、重いものを持つことが多い農作業はどうしても身体が痛みます。当然、ラクにできることにこしたとはないですよ」(渡部さん)
スマート農業、若手農家に取り入れてほしい!
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