「コロナ移住」一瞬でも考えた人に教えたい 北九州市「お試し居住ライト」参加して分かったその魅力とは
「住めば住むほどハマッて抜け出せない」
続いて、愛媛県松山市出身でPORTOのおかみをしている長野さくらさん(24)にも話を聞いた。
2014年、大学進学を機に北九州市に移住してきたという長野さん。大学在学中は小倉南区に、そしてPORTOのおかみになった19年からは門司区に住んでいる。
大学3年生のときにアイルランドへワーキングホリデーに行き、そこでホテル、ゲストハウス、シェアハウスといった多様な場所に宿泊した経験から、旅行者をもてなすことに興味を持ったという長野さん。帰国後は、今回のお試し居住ライトの宿泊先の一つにもなっている小倉「Hostel and Dining Tanga Table」でアルバイトをはじめた。そこで初めて北九州の人たちと本格的な関わりを持ったという。
長野さんは
「今までは特に地元との交流とか求めてなかったんですけど、お客さんと地元のお店へ飲みに行ったりとかしてる内に、自分もこの町に詳しくないとこうやって宿泊者の方に紹介したりできないなと思いはじめたんです。だから、色んなお店に行ったり、商店街のイベントとかにも参加するようになりました。その内、だんだんに北九州市は面白いところだからもっとここにいたい、ここで働きたいって気持ちがわいてきました」
と、北九州市で働くことになった経緯を話す。
そして大学4年の冬、ゲストハウスのイベントで菊池さんに誘われ、オープン直前だったPORTOのおかみとなり、門司港に引っ越したという。
そんな長野さんが北九州市で暮らしていて困ったことや大変だったことを聞いてみると
「最初は北九州市のちょっとネガティブな噂を聞いていたので、夜道を歩くときとかはビクビクしていました。見た目がヤンチャそうで怖い感じの人も結構いましたし」
と治安の面での不安を抱えていたことを教えてくれた。その上で、
「でも、そういう人たちも話してみるとめっちゃいい人で。夜道には気をつけるっていうのはどこでもそうですし、今は、思ってたより悪い人はいないなっていう印象に変わりました」
としていた。
同世代の女性として気になる買い物についてだが、長野さんはもっぱらインターネットでしているそう。
「住んでいるのがだいぶ坂の上なので、生活用品も洋服もほとんどネットで済ませています。あと、近所の人から洋服や食べ物、家電なんかももらえたりするので特に不便さは感じませんね」
と長野さん。食品は、スーパーより商店街で買う派とのことで
「たとえば八百屋さんのおばちゃんと『今日は何作るの?』なんて会話しながら買い物をするのが好きです。事前に袋詰めされたものを自分で手に取るより、人のワンクッションがあって、手渡しでもらうことに付加価値があると思います」
としていた。
北九州市に移住してきて6年目の長野さんにその魅力を聞いてみると
「7つの区の中には海も山も町もあって、市としては広いのに人と人は結構繋がっていて、狭い。そこが好きです。こことここ、知り合いだったんだ! みたいな驚きがあったりもして。最初はよそものだった私も、今は地元の人かなってぐらい馴染めていて、知っている人や好きな場所がどんどん増えていっています。そういうのが嬉しいし、住めば住むほどハマッて抜け出せないところですね」
と話していた。
門司港に暮らす若い世代の方々と交流もかねて楽しくインタビューをさせていただいたところで、今回のお試し居住は終了となった。
1泊2日という短い期間ではあったものの、門司港でお試し居住をしてみて、美しい街並みに囲まれて穏やかに暮らせそうなイメージがわいた。お店の方やインタビューさせていただいた移住者の方も皆さんあたたかくて、気さくで、人見知りの筆者でも何だかすでに少しだけ仲良くなれたような気もする。ここなら単身で移住してきても孤独を感じることはなさそうだ。
旅行とも単なる下見とも違う良さがある「お試し居住ライト」。いっそう移住への憧れを募らせた筆者は、名残惜しい気持ちで北九州市を後にした。
<企画編集:Jタウンネット>