広島の未来は「AI人材」が変える 逆転の発想が生んだ「革新的プロジェクト」の全貌
そもそも「ひろしまQuest」って何?
まず、プロジェクトの現状について整理しておこう。
ひろしまQuestの本事業は、20年4月以降のスタートを予定している。これは、企業や自治体が現在抱えている課題をビッグデータと共にオープンな場に提供。それに対して、データ分析を活用した解決法を参加者が自由に提案し、コンペ形式で競っていくというものだ。
こうした枠組みの創出に向けて、現在プロジェクトは準備段階。「プレQUEST」と題して、本事業スタートに向けた人材育成および事業の周知活動を進めている状況だ。
「プレQUEST」では、データ分析を学習したいと考えている県内外の人材を対象に、オンライン(e-ラーニング)とオフライン(勉強会)の両面から学びの場を無料で提供。学習教材の提供や勉強会の運営などは、AI関連事業を行うSIGNATE(東京・千代田区)の協力を受けている。
こうした学習プログラムを実施した上で、広島県が抱える課題について参加者が議論し、解決法を提案するアイディアソンを3月に行う予定。こうした人材育成、課題解決に向けたアイデアの提案が、これから始まる本事業につながっていくわけだ。
少し駆け足の説明になったが、ここまでが「ひろしまQuest」をめぐる現状だ。もう少し詳しい説明が知りたい場合や、実際にe-ラーニングの講座を受けたいと思った人は、ひろしまQuestの特設サイトを確認してほしい(e-ラーニングの受講期間は3月31日まで)。
さて今回、記者が訪れたのは、「プレQUEST」の一環として行われている「ハンズオン勉強会」だ。
勉強会は単なる座学ではなく、グループワーク形式でデータ分析を実践的に学ぶ内容。講師を務めたのは、SIGNATEでシニアデータサイエンティストを務める高田朋貴氏。今回の勉強会の特徴について話を聞くと、
「実際のデータ分析のプロジェクトも、基本的にはチーム単位で進めます。参加者がディスカッションを交わしながらアイデアを形にしていくことや、様々なスキルを持った人が協力していく点など、非常に実践的な形式になっていると思います」
という。
年齢や性別を問わず、積極的に意見を交わしていく参加者たちの熱気に触れた記者は、プロジェクトの中心メンバーで、広島県商工労働局イノベーション推進チームの金田典子課長に詳しい話を聞いた。