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世界が注目するスポーツ、逆境乗り越えるワイン 笑顔弾ける湯梨浜で〝新たな魅力〟が成長中

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2025.11.20 12:00
提供元:鳥取県湯梨浜町

鳥取県中部に位置する「湯梨浜町」。その名の通り、湖から湧き出た湯(温泉)、おいしい梨、そして美しい浜が魅力的な場所だ。

湯梨浜町の東郷湖
湯梨浜町の東郷湖

約20年前、羽合町・泊村・東郷町が統合されて湯梨浜町になった。

そうして生まれたこの町で、新たな人やモノが生まれ育った。

そんな人々やモノのおかげで今、湯梨浜の魅力がさらに強まっているらしい。

人口1万6000人ほどの町で、何が起きているのか。記者はその目で確かめてきた。

世界から注目されるスポーツが育つ

湯梨浜には、世界から注目されているモノがある。

旧泊村発祥の「グラウンド・ゴルフ」だ。

どこでもプレイできて、高度な技術やパワーは不要。ルールも簡単。子供から高齢者まで楽しむことができるということで、海外でも人気らしい。

湯梨浜町ではこのグラウンド・ゴルフをさらに広めようと、国際化を積極的に推進中。

そして、2025年5月に生まれたのが「ROOTS in HERE」という用具シリーズだ。

「ROOTS in HERE」クラブ
「ROOTS in HERE」クラブ

「ROOTS in HERE」は、湯梨浜町と、グラウンド・ゴルフ誕生時からクラブ製造を手掛ける「米村木工」(鳥取市)、そしてグラウンド・ゴルフ用品ブランド「ASPRYER」(湯梨浜町)がコラボレーションして誕生した、〝発祥地モデル〟だ。

特徴的な形状のシャフト
特徴的な形状のシャフト

ボールを打つ打面(フェイス)と繋がっている棒――「シャフト」がグニャッと曲がっているのが分かるだろうか。これは、米村木工と同社のブランド「ASPRYER」が生み出し、23年1月に販売を始めた構造。

米村木工の柏健さん(52)によると、シャフトを打面より前に出すことでブレにくく、ボールをまっすぐ前に飛ばしやすいんだとか。

米村木工の柏さん
米村木工の柏さん
「実際に利用してくださる皆さんからは、『スコアがあがった』『ホールインワンがたくさん出たよ』というような感想をもらうこともあります」(柏さん)
一つずつ、手作業で作られるクラブ
一つずつ、手作業で作られるクラブ

発祥地モデル「ROOTS in HERE」は、そんな一味違うクラブに、さらなる特別デザインを施したもの。約2年の月日をかけて湯梨浜町と相談を重ねて練り上げ、工場で一つ一つ丁寧に、鮮やかな手さばきで生み出されるそのビジュアルには、多くのこだわりが詰まっている。

日本海の波や「潮風の丘とまり」をイメージしたデザイン
日本海の波や「潮風の丘とまり」をイメージしたデザイン

フェイスは日本海の波や潮風、グラウンド・ゴルフの聖地と名高い「潮風の丘とまり」の3つのコースをイメージしたデザイン。

グラウンド・ゴルフをプレイするときはいつでも、湯梨浜の空気を感じられるというわけだ。

「潮風の丘とまり」の岬コース(画像提供:湯梨浜町)
「潮風の丘とまり」の岬コース(画像提供:湯梨浜町)

また、「ROOTS in HERE」は今までになかったサイズのクラブも用意している。

日本人男性の平均身長(170センチ)ほどであればクラブは84センチくらいがちょうどいいのだが、海外の高身長プレイヤーたちにとっては少し短い。

そこで、さらなる国際化を目指す「ROOTS in HERE」には100センチを用意した。

88センチと100センチ、だいぶ違う
88センチと100センチ、だいぶ違う

100センチのグラウンド・ゴルフのクラブが日本で製造・販売されるのは初めて。

5月に湯梨浜町で行われた国際大会で、このクラブを購入していった外国人プレイヤーもいたそうだ。

「ROOTS in HERE」デザインはクラブ以外も
「ROOTS in HERE」デザインはクラブ以外も

グラウンド・ゴルフは今や世界各国で人気。〝故郷〟で生まれたクラブやボールは、どんどん海外に羽ばたいていくだろう。

グラウンド・ゴルフを楽しんでほしいから
グラウンド・ゴルフを楽しんでほしいから
「色々なところに普及して需要が上がれば、こちらとしても様々なものが作れるようになるのでとてもありがたいです。海外のプレイヤーの方がたくさん使ってくれるということになると、やっぱり木製品なのでクラブの長さやパワーの差でどのくらい強度が必要なのかまだ分からないという不安もありますが、今後も研究を続けて、適宜課題を解消していければと思います」

と、柏さんは語る。丁寧に、魂を込めて作られる道具は、プレイヤーたちをさらにグラウンド・ゴルフの魅力に引き込むはずだ。

東京では出来なかった究極のモノづくり

故郷だからこそ出来る〝モノづくり〟を楽しむ人は、他にもいる。

スギモトヴィンヤードの杉本悟さん(45)だ。

スギモトヴィンヤードの杉本悟さん
スギモトヴィンヤードの杉本悟さん

湯梨浜出身で、多摩美術大学へ進学。卒業後は東京でデザイナーとして働いていたという杉本さん。湯梨浜にUターン移住し、農業を始めて今年で8年目。

生まれ育った湯梨浜が好きで、年を重ねるにつれて「湯梨浜で何が出来るか」を考え、現在のスタイルに行きついた。

杉本さんの育てるシャインマスカット、とても大きい
杉本さんの育てるシャインマスカット、とても大きい

シャインマスカットやピオーネといった食用ブドウやイチゴを栽培しつつ、ワイン用ブドウも育てている。

現在は試験用も含め、10種類ほどワイン用ブドウを製造しているそう。

ワイン用ブドウは収穫済みだった
ワイン用ブドウは収穫済みだった

杉本さんによれば、湯梨浜町の、特に杉本さんの畑がある地域はワイン用ブドウ作りに重要な朝晩の寒暖差が少なく、栽培に適した土地ではない。

しかしそんな困難な状況に、杉本さんは逆に燃えた。

「最初はとにかく無知だったので、ただがむしゃらに頑張りました。
何度も壁にぶち当たりましたが、全てを一から〝デザイン〟出来ているので、とても面白いです。
土地を開拓して、そこでブドウを育てて、それをワインにして、ボトルのデザインも地元のデザイナーと相談しながら作ってます。東京ではなかなかできなかった、自分のやりたい、究極のモノづくりが出来ていると感じます」(杉本さん)
自身で全てを一からデザインできる仕事
自身で全てを一からデザインできる仕事

育てたワイン用ブドウは「ひるぜんワイナリー」(岡山県真庭市)に醸造を委託。試行錯誤を続けて今年で5作品目。とても良い仕上がりになっているそう。

「今の一番の目標は、自宅の隣に自分の醸造所を開くことですね。これはもう実現まであと少しと言ったところなので、夢というより目標です」

先日、ワインを購入してくれた人が「おいしかったからぜひ畑を見学に行きたい」とわざわざ東京からやってきたという。その時のことを話す杉本さんは、とても嬉しげ。

合計すると1ヘクタールもあるという広大な畑を基本的にはほぼ1人で管理するのは容易ではないだろう。だが、故郷で〝究極のモノづくり〟をする杉本さんはとても活き活きと、楽しそうに見えた。

笑いの絶えない駐車場?

〝故郷・湯梨浜町〟での暮らしをよくするために頑張っている人たちもいる。

NPO法人とまり。毎月第3土曜日の午前中、地区にあるコンビニ「セブン-イレブン 泊東郷インター前店」の駐車場で地元の食材などを販売するマルシェを開催している。

いったいなぜ、コンビニの駐車場でわざわざマルシェを開催しているのか。ひとえに「地元を盛り上げたい」という一心だ。

マルシェの様子
マルシェの様子

「とまり」の小林優貴秀さん(72)によると、24年11月にこの店舗がオープンするまで、湯梨浜町の泊地区では日々のちょっとした買い物をする小売店がないのが悩みだった。

NPO法人とまりの小林さん
NPO法人とまりの小林さん

車で他の地区まで行けば大きなスーパーがあるのだが、それが難しい高齢者もいる。そんな買い物難民を解消するため、「とまり」はコンビニの誘致を開始。

困難にぶつかりつつも、町の協力もあってオープンしたのが、泊東郷インター前店だ。

「せっかくコンビニがオープンしたのでこれに合わせて、地域でも出来ることを何かしたいと思って始めたのがこのマルシェです」(小林さん)
マルシェではいろんなものが売られている
マルシェではいろんなものが売られている

コンビニがオープンした24年11月から、マルシェも開始。初回に出店したのは3店舗のみだったが、現在は毎月、町内だけではなく近隣地域からも7~8店舗が出店している。記者が訪れた25年9月にも、7店舗が出店していた。

「町役場が告知を出してくれたりもして、毎月ここでこのマルシェがあるというのがだんだん認知されてきた結果だと思います。地域のご年配の方が、お惣菜とかを買って行かれたり、県外の方がコンビニのついでによってくれたりして、だいだいいつも11時頃にはほぼ完売しています」(小林さん)
地元の新鮮な野菜
地元の新鮮な野菜
地魚の干物
地魚の干物

マルシェは午前9時開始なので、およそ2時間で完売ということらしい。すごい人気だ。

記者が取材した日は、新米・野菜・果物や、地元の食材を使ったお惣菜、地魚の干物や焼き魚なども販売していた。

皆楽しそうな笑顔
皆楽しそうな笑顔

そして、この場所に集まっている人みんなの楽しそうなことと言ったら! はじける笑顔に、こちらもホッコリ。

この〝親しみやすさ〟が、「湯梨浜らしさ」なのだろう。

小林さんに地元の良さを尋ねたときも、こんな答えが返ってきたし。

「みんな仲が良いし、すぐに仲良くなれることだね」

取材中、マルシェには笑い声が絶えなかった。

売っているお店の人たちも、お客さんたちも、とにかく会話を楽しんでいて、みんな活き活きとしていたのだ。

お店の人たちと仲睦まじく話している男性たちがいたのでお友達かと思ったら、「偶然通りすがったので立ち寄ってみた」という大阪からの旅行者だった、なんてこともあった。

住民たちが待ち望んでいたコンビニは、地域の生活を支える小売店であるというだけではなく、人と人がつながる交流の場としての役割を果たすようになっていた。これなら、店が町に根付いていくだろう。

湯梨浜町の東郷湖
湯梨浜町の東郷湖

今回の取材で印象的だったのは、湯梨浜で出会う人、湯梨浜に関わる人たちが皆、とにかく明るく楽しそうだったことだ。

取材をしている記者にも、とても気さくに、まるでずっと知り合いだったかのように接してくれた。

そんな土地柄だからなのか、湯梨浜には移住者も多く、年間100人ほどが移住してくるという。

「ゆりはま暮らしお試し住宅」など、移住に興味がある人へのサポート・サービスも充実している。少しでも湯梨浜に、または移住に興味があるという人は一度足を運んでみてほしい。

「今すぐ移住っていうのは気が早すぎ...!?」という人も、湯梨浜町では町のファン「ゆりはまフェロー」も随時募集中なので要チェック。

湯梨浜町地域おこし協力隊のインスタグラムアカウント(@yurihama_fellows)でも情報を発信している。

もしかすると、あなたにとっても湯梨浜が第二の〝故郷〟となるかもしれない。

企画編集:Jタウンネット

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