「受験に失敗し、やけっぱちになっていた私。車に乗った見知らぬおじさんに声をかけられて...」(山梨県・60代女性)
スケッチブックとカミソリを鞄に入れて
そんな自分が嫌になり、ある日やけっぱちな行動を起こした。
家族に告げず、夜明けを待って自転車で家を飛び出しのだ。逃げ出したい衝動にかられていた。
行き先は富士山の麓の大草原が広がるところ。自然を求めてのことだった。
リュックサックにはスケッチブックとカミソリ。カミソリを持った理由は怖い人に出会ったら、いっそのこと死んでしまおうと思ったから。
大草原を駆け抜ける気分はすがすがしくて、本来の自分に帰ることが出来た。
雄大な富士山をスケッチしながら、「もっと大きな気持ちで生きなさい」と教えてもらった気持ちにもなった。
問題は帰り道、向こう見ずな私はあまりに遠いところに来てしまい体力は限界だった。
日が暮れてしまえはそこは青木ケ原樹海。ヨロヨロと自転車を押していた私の横に1台の車が止まった。