紀元前3万年、さいたま市に人が住み始める 博物館年表に17万人ジワる「人類が先かさいたま市が先か」
2024.10.29 12:00
一般的には「大宮台地」になるところ、だけど...
Jタウンネット記者の取材に応じた@an_shidaさんによると、話題の年表を目撃したのは9月6日、さいたま市立博物館でのことだった。独特の表現に、面白さを感じたと振り返る。
「今のさいたま市域から旧石器時代の遺跡が見つかっている、旧石器時代から人が住んでいたということは分かるものの、『さいたま市に』と書くと、さいたま市が普通に古代にあったような錯覚が出て面白みが発生するのだなと微笑みました。
また、さいたま市というローカルなものが『人類が日本に登場』『土器の作成』という歴史的な事柄と並んでいるのも『ゆかい』なイメージがあるなと思います」(@an_shidaさん)
さいたま市立博物館にも尋ねたところ、「さいたま市に人が住み始める」という表記を選択していることには、しっかりと理由がある。同館はその意図を、次のように説明した。
「さいたま市内では、約3万年前の旧石器時代の遺跡が、これまでに南区の明花向遺跡や西区の清河寺前原遺跡などで見つかっていますが、当時の人々は、こうした遺跡のある場所に定住していたわけではなく、各地を移動しながら生活していたのではないかと考えられています。
一般的には『大宮台地に人が住み始める』などの表現になるところですが、当館には市内の小中学生が見学に来られることも多いため、『大宮台地』などの用語を知らなくても理解できる平易な表現として、また、現在の自分たちが住む地域に結び付けて、興味を持ってもらいやすいよう、『さいたま市に人が住み始める』という表現としています」
自分たちのまちには約3万年も前から人が住んでいたんだ――そんな感覚を子供たちに持ってもらうための工夫が、ユニークな表現だったのだ。
このように、年表というのは出来事が並んでいるだけのように見えて、実は作った人の「思い」が込められていることも多い。