オーシャンビューの客室が破格の1泊3000円 広島・呉の絶景民宿に世界各地から予約続々
2024年1月9日、とあるXユーザーが投稿した次のようなポストが、いま話題となっている。
写真には、瀬戸内海の美しくのどかな光景が捉えられている。広島県呉市に旅行した「べーた」(@onecuprain)さんが、宿泊した民宿で撮影したものだ。そこで素晴らしい体験をしたようで、べーたさんは次のように呟いている。
「部屋からも大広間からも調理場からも海が見えて、すぐそばに瀬戸内の穏やかな海と島々があるのを感じながら眠るのはなにか包まれているようで安心するなと、そう思えた一晩でした」
リゾートホテルでは、オーシャンビューの部屋は非常に人気だと聞く。海が見える部屋のほうが料金が高いことも。
しかし、べーたさんが宿泊したのは、素泊まり限定一泊3000円の民宿。その部屋から、すぐそばに瀬戸内海の島々が見えるとは......。
予想外の絶景を堪能したべーたさんの投稿には、6000件を超える「いいね」(1月19日時点)が寄せられ、話題になった。
絶景の民宿とは、どんなところ? また泊まった訳は? Jタウンネット記者は、投稿者・べーたさんと、「民宿かまがり」のご主人に話を聞いた。
海が目の前で、景色がいい
投稿者・べーたさんが宿泊したのは広島県呉市の上蒲刈島にある「民宿かまがり」。
投稿写真は2024年1月8日の夕方から9日の朝にかけて、「宿に着いてから出るまでの間、時間があれば大広間で海を見たり外に出て散歩したり、そういう時に撮影しました」。
べーたさんが「民宿かまがり」を見つけたのは、GoogleMAPでだった。呉旅行が決まり、近くに宿泊できる場所がないか探していたところ、発見した。「海の目の前で景色がいいことを知ったので泊まろうと思いました」と語る。
民宿に到着したときの様子は、別ポストにこう記されている。
「電話で言ってた時間よりも早く着いちゃったのでご主人が街に出ていて宿におらず、ご近所のおばちゃん達が『ようこそようこそ』ってめちゃくちゃ丁寧にもてなしてくれた。この宿は自由やから好きに寛いでていいよって。遠慮なく海の見える大広間でごろごろしてる」
近所のおばちゃん達のおもてなしも素晴らしかった。民宿のご主人が留守のときは、ご近所さんが手伝ってくれるのだろうか。なんとものどかで、和やかな雰囲気ではないか。
また「べーた」さんは、この民宿について次のようにも呟いている。
「今日の宿は素泊まり限定の自炊スタイルの宿。だけど飲み物もお酒も食料もちゃんと取り揃えてくれているので手ぶらで向かえるのが有難い。食料は机に置いてるものどれでも150円。前は100円やったけど値上がりしたらしい。それでも安い。味噌汁とかコーヒーとかは無料で何杯でも良いとのこと。全部あるな」
ロケーション、雰囲気、景色、サービス。べーたさんはこの民宿にすっかり満足したらしい。
記者の取材に対し語った「海や空の色合いなどなるべく肉眼で見えるものと同じように撮れればと思い撮影しました」という言葉から、そんな気持ちが伝わってきた。
べーたさんの心をがっちり掴んだ「民宿かまがり」は、どんな宿なのだろう? 電話してご主人に話を聞いてみることにした。
世界各地から続々と予約が
「民宿かまがり」のご主人は中下ヒロシさんだ。宿泊客の傾向について、こう答える。
「多くは、釣り客と、サイクリング旅行客ですね」(中下ヒロシさん)
サイクリング客が多いのは、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」が近いからだろう。
瀬戸内海に浮かぶ芸予諸島の島々を橋で結ぶこの道は、自転車・歩行者専用の道路も整備されている。美しい景色を楽しみながら走れるサイクリングロードは、国際的にも人気が高く、サイクリストの聖地とも呼ばれる。
その西側にある「安芸灘とびしま海道」にもサイクリング客が徐々に増えているようだ。「民宿かまがり」がある上蒲刈島は、このとびしま海道の途中にある島のひとつである。
「実は、お客様の約半数は外国人なのです。台湾や香港、シンガポールなどアジアから、ヨーロッパやアメリカなどからも、続々とやって来られます。一時多かった中国からは、まだ少ないのですが......」(中下ヒロシさん)
インターネットの予約サイト経由で、どんどん予約が入って来るという。
「民宿かまがり」のご主人・中下さんは、実は英語が話せない。それでも、スマホの音声通訳機能を使ったり、「身振り手振りでなんとかやっている」と苦笑する。「外国人のお客様にも、ご自分たちで布団を敷いていただいています」と語った。
べーたさんの投稿にあるように自炊も出来るし、「近くに、夕食を食べに行ける店もありますよ」と中下さん。
呉を訪ねたら、あえて市街地から離れた「とびしま海道」を走り、上蒲刈島で「オーシャンビュー」の眺望が楽しめる民宿に泊まる、というのも楽しいかもしれない。
ただし事前の予約は、どうかお忘れなく。