エンゼルスの「兜」作った工房「丸武」は、超楽しい「甲冑テーマパーク」でもあった 「大谷モデル」に信長、家康...その魅力を完全レポート
甲冑揃い踏み どうする?
織田信長に次いで人気の高い、豊臣秀吉、徳川家康の甲冑も複数展示されており、それぞれの違いも、興味深い。秀吉の甲冑は、なんとも奇抜で派手、自己主張の強さが表れたデザインである。
それにひきかえ徳川家康の甲冑は、地味と言えば地味だが、風格があり、いかにも質実剛健に見える。本多忠勝、榊原康政、井伊直政といった徳川家の名だたる重臣たちの甲冑も控えているところが、なんともニクい。NHK大河ドラマ『どうする家康』を見続けている人たちは(筆者も同様だが......)、興味津々だろう。
もちろん他の戦国時代の武将たち――武田信玄、上杉謙信、浅井長政、大谷吉継、明智光秀、石田三成、前田利家、黒田官兵衛、真田幸村などの甲冑も並んでいる。好きな武将の甲冑を見つけて、それぞれのプロフィールを読んでいるだけでも、歴史好きな人々にはたまらないはずだ。
また、黒田官兵衛・長政と他に、地元・薩摩の島津義弘、豊後の大友宗麟、柳川の立花宗茂といった九州の武将たちの甲冑も展示されている。
歴史にあまり詳しくない人でも、ひと目兜を見ただけで、「ひょっとしたら?」と分かるのが、伊達政宗の甲冑かもしれない。前立てに、大きな三日月を飾った特徴ある兜は、東北、とくに宮城県の人にはお馴染みだろう。
そしてもう一つ、忘れてはいけないのが、前立てに「愛」という漢字がデザインされた、直江兼続の甲冑。
米沢藩(上杉景勝)の家老として、戦国時代・江戸時代前期を生き抜いた名将だ。2009年のNHK大河ドラマ「天地人」では、妻夫木聡さんが演じたことを覚えている人もいるかもしれない。
しかし今、「なおエ」といえば、SNSで「大谷選手は活躍しました。なおエンゼルスはその後逆転され敗れました」という常套句が、あまりにも有名だ。エンゼルスの兜セレブレーションには、むしろこの「なおエ」モデルの方がふさわしい、という声が起こらないことを、切に祈るばかりだ(いや、今シーズンこそはきっと大丈夫だろう!?)。