「可愛い」というコトしか、わからない 豊臣期の遺跡から出土した「犬の像」の謎
「うおおおお犬の土器!!!!」
「犬型もかわいい!」
「かわいすぎる」
「お耳やしっぽの感じが全部違うんですね」
そんな感想が飛び交っているのは、大阪歴史博物館のツイッター公式アカウントが2023年2月23日に投稿した、次のような写真に対してである。
土でできているらしい、垂れ耳がなんとも愛くるしい犬たち。
たしかに体形や表情が一つ一つが違うような気もする。
ツイートによると「大坂の豊臣期の遺跡から出土した犬型土製品」ということだが、これにはいったいどういう背景があるのだろうか?
Jタウンネット記者は大阪歴史博物館に詳しい話を聞いてみた。
「使い方はよくわかっていません」
大阪歴史博物館企画広報課の担当者によると、「犬型土製品」は、長さ5センチ、高さ4センチ、重さ20グラムほどで、子供の手のひらに乗る大きさだという。
不思議なことに、大阪では豊臣秀吉が大坂城を築いた時代の遺跡からのみ出土する。最近は、奈良での出土例も増回しているそうだ。奈良市阿弥陀谷遺跡の室町~戦国時代のお墓などから見つかっている。
「使い方はよくわかっていません。犬が多産であることにあやかってお産のお守りとする意見もありますが、確定していません。土産物や玩具の可能性もあります」(大阪歴史博物館担当者)
安産のお守りだったのか、それとも土産物? 玩具? 残念ながら、いまのところ裏付ける資料は見つからないそうだ。今後の研究・調査の進展に期待したい。
何であったにしても、現代の日本人の好みにもバッチリ嵌まったらしい。ツイッターにはこんな声が寄せられている。
「ぜひグッズ化を」
「これのマスコットあったら欲しい」
「キーホルダー化をはげしく所望」
「おいぬまんじゅう、作ってくれる菓子舗はおられませんか」
「ぬいぐるみ化してもらいたい」
「ぬいぐるみとか出たら、絶対に買っちゃいそうで怖い」
グッズ化、キャラクター商品化を希望するユーザーが続出しているのだ。
このような反響に対して、大阪歴史博物館担当者は、「うれしいです。思った以上の反響をいただいてとてもびっくりしています」「職員のあいだでも前々から『かわいい』と人気の資料ですが、このようなお声をいただけたので、あらためて考えてみたいと思います」とコメントした。
ちなみに、大阪歴史博物館では3月21日まで、常設展示10階・9階・8階・7階の各所において、「れきはくで探そう!~動物編」を共通テーマに館蔵資料を展示中。
犬型土製品をはじめとした、人と動物のかかわりがうかがえるような考古資料・歴史史料・絵画を見ることが出来る。