「えさをあたえないで」「たいせつに育てられています」 九州国立博物館では、埴輪が「放牧」されているらしい
2023.03.10 09:47
「遺物」や「馬具」としてではなく...
生き生きした埴輪たちがいるのは、「埴輪の牧(まき)」という展示で、特別展「加耶」の第9章「渡来馬と渡来牛」の一部。馬形埴輪が7体(内1体は仔馬形埴輪)と牛形埴輪1体が"放牧"されている。馬を子供の段階から育てあげた人がいたことを示す「仔馬形埴輪」や、4体しか知られていない「牛形埴輪」は大変貴重なものだ。
「『加耶』の第9章では、渡来人が日本の歴史に果たした功績のひとつとして、馬や牛を飼育する牧(牧場)の経営に関わったことを取り上げています。
そのため、これらの埴輪も、古墳の上に立てられた『遺物』であることや、『馬具』を描写したものとしてというより、『牧場で飼育された動物』を描写したものとしての側面を強調するため、このような形式での展示にしました」(担当学芸員)
牧場に見立てたスペースで馬形埴輪や牛形埴輪を展示するというコンセプトを元に、館員やデザイナーが様々なアイディアを出し合い、実現したという「埴輪の牧」。なちさんがツイッターで紹介した1月24日は加耶展の初日で、担当者は投稿の直後にツイートに気付いていたという。
「展覧会初日でありながらあいにくの悪天候で、来場者もたいへん少ない日でしたが、私たちの苦労が報われる内容でした。
関係者が持ち寄ったささやかなアイディアや工夫の積み重ねでできあがった牧場を多くの人に知っていただくことができて、感謝に堪えません」(担当学芸員)
「加耶展」は3月19日まで開催中。「放牧」されてのびのび暮らす、いつもとちょっと違った埴輪の姿を見たい方は、ぜひ九州国立博物館へ。