美術館、劇場、Barに朝市... 「日本一の旅館」はもはや「旅館」の域を超えていた
喫煙者にも嬉しい空間
もっと重厚な夜の空気感を味わいたいなら、シガーバー「笹笛」に行ってみるのもいいだろう。入った瞬間、エレガントな紳士淑女になれる魔法の空間だ。

本場・キューバ産の銘柄を中心とした葉巻を燻らしながら、上質なウイスキーとワインで乾杯。時がゆっくりと流れているような、非日常感たっぷりの店内では、忙しない日常を忘れられる。

張原さんによると、笹舟のオープンは21年7月。意外にもごく最近のことだった。
なぜこの時代に、シガーバーを新たに作ったのか。張原さん尋ねると、加賀屋の「おもてなし」の精神がにじむこんな言葉を語った。
「吸わない人はもちろんですが、たばこを吸う人にも楽しめる工夫をしているんです」
その思いは、次に入った部屋からも伝わってきた。

九谷焼が展示されている室内には、座り心地のよさそうな椅子も置かれている。ラウンジスペースのように見えるが、実は「喫煙室」だ。
喫煙室といえば何の面白みもない空間なことも多い。しかし加賀屋ではゆったりと座って、美しいものを見ながら一服できる。喫煙者にとっては嬉しい心遣いだろう。