「幼稚園から帰る途中、道に座り込んで泣く私。すると、通りがかりの男子学生が持っていたカバンで...」(千葉県・50代男性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Kさん(千葉県・50代男性)
今から50年以上前、当時幼稚園の年長だったKさんは、経済的な事情で雨の日以外はバスを使えず一人歩いて登下園していた。
ある日、いつものように帰り道の途中で角を曲がると、強い向かい風が吹いてきて......。
<Kさんの体験談>
今をさかのぼること50年以上前、私が幼稚園の年長の頃の話です。
その頃は家が裕福でなかったため、幼稚園の年長になってから雨の日以外は通園にバスを使えず、1時間以上かかる道を一人歩いて帰っていました。
当時は園バスというものは無かったので、使うのは路線バス。登園の時は父の出勤と一緒になり、登園時間に早すぎても門の中に入れられていました。
そして帰りは歩き。今では考えられませんが、当時は保護者が迎えに来なくても園児だけで帰れたのです。平和な時代でした。
その日も、私は一人で颯爽と園を後にしました。風がとても強い日でした。
帰ろうとすると苦しくて、家に向かえない...
帰り道の途中で角を曲がると、急に向かい風が強く吹いてきました。そして、生まれつき肺の弱かった私はなぜか過呼吸を起こしてしまったんです。
強い風が顔に当たると息が吐けない。家に帰ろうとすると苦しい......!
とうとう私はそのまま座り込み泣き出してしまいました。
しばらくたった後、そんな私に声をかけてきた人がいたんです。詰襟の学生服を着た男性で、高校生くらいでしょうか。園児の私には、かなり大人に見えました。
泣きながら状況を伝えると、彼は「大丈夫、お兄さんが一緒に行ってあげる」。
そして、持っていた学生かばんを私の顔の前に出し「これなら大丈夫でしょ」と風をよけてくれたんです。おかげで苦しくならずに歩くことができました。
園児の歩く速度に合わせて...
学生さんはその後、園児の歩く速度に合わせて30~40分位一緒に歩いてくれました。内容までは思い出せませんが、歩きながら何か話をしてくれたことを覚えています。
分かれ道に差し掛かると「ここからは一人で大丈夫?じゃあね」と手を振ってくれて、私も彼の後姿にいつまでも手を振って見送りました。
あの学生さんに人に優しくする心を教わった気がします。お礼も言えず名前も聞けず終いでしたが、あの時はありがとうございました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
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