喜多方・白河だけじゃない!福島第三のご当地ラーメン「郡山ブラック」がカップ麺に 黒すぎスープの意外な味わい
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第八十六回 寿がきや食品「全国麺めぐり 福島郡山ブラックラーメン」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」の連載の第八十六回目となる今回は、寿がきや食品の「全国麺めぐり 福島郡山ブラックラーメン」をレビューします。
前回レビューした「新福菜館」の醤油ラーメン (詳しくはこちら) に続き、今回も真っ黒なスープの醤油ラーメンです。
福島第三のご当地ラーメン「郡山ブラック」のカップ麺登場
福島といえば、札幌や博多と並び日本三大ラーメンとされる「喜多方ラーメン」があり、「朝ラーメン」も有名。全国有数のラーメン文化が根付く土地柄です。
喜多方ラーメンはカップ麺としても、名店の誉れ高い「坂内食堂」や、東京を中心に多店舗展開する「坂内」の味を再現した商品がたびたび発売されています。
福島には他にも、「白河ラーメン」という全国的に知名度の高いご当地ラーメンがあり、白河の名店「とら食堂」は多くのお店に影響を与えるとともに、頻繁にカップ麺化もされています (「とら食堂」の記事はこちら) 。
今回レビューする「郡山ブラック」は、福島の経済の中心地、郡山のご当地ラーメン。
「郡山ブラック」と呼ばれるようになったのは比較的最近ですが、郡山で昔からよく食べられていたラーメンのようです。
「喜多方ラーメン」と「白河ラーメン」はともにあっさりの醤油ラーメンで色味も薄いのに対し、「郡山ブラック」は「富山ブラック」 (詳しくはこちらから) を思い浮かべてしまうような真っ黒なスープが特徴となっています。
「福島郡山ブラックラーメン」の内容物
別添袋は「液体スープ」と「かやく」の2つ。
液体スープがかなりズッシリしており、大量の醤油による濃いスープを想像させるものがありました。
先入れの「かやく」の中身は、チャーシュー、ナルト、ネギ。オーソドックスな具の構成と言えるでしょう。
麺は細めのノンフライ麺が入っています。
同じ「ブラック」でも「富山ブラック」は、濃い醤油や胡椒に負けないように太めの麺が使われる場合が多いですが、今回の麺はそれとはだいぶ違いそうです。
透きとおる真っ黒スープ
スープは豚ガラと鶏ガラをベースにした醤油味で、澄んで透明なのと真っ黒な醤油色が特徴的で、「郡山ブラック」というネーミングがピッタリな色味。
「富山ブラック」にも負けないくらい真っ黒ですが、「富山ブラック」よりも透明感があります。
スープには、地元福島県の会津高砂屋の「キンタカサゴ特急醤油」を100%使用しているとのこと。
「郡山ブラック」に限らず、蕎麦店や喜多方ラーメン店でも使われ、全国の鑑評会で日本一にもなったことがある地元で愛されるブランド醤油。
淡麗な色味が特徴とのことで、今回のスープの透き通った色味にも醤油の特徴が活かされているようです。
色味のわりに、意外なほどあっさりまろやか
これだけ黒い色のスープだと、濃い醤油による塩気の強さが気になるところですが、色味とは裏腹に味はいたってまろやか。
濃い醤油の香りやコクはありながらも、塩気が刺さってくることはなく、むしろ少し甘いとすら感じられます。
「富山ブラック」だと、醤油の塩気に加えて胡椒のすごいパンチで、ごはん片手じゃなければ厳しい場合もありますが、「郡山ブラック」のスープはそれとは対極の味です。
むしろ、色味こそ全然違いますが、同じ福島の「喜多方ラーメン」や「白河ラーメン」と同じくあっさり系統の醤油味と言って良さそうで、根底に同じDNAがあるのかもしれません。
黒いスープの表面には豚脂などの油脂が浮いており、キラキラ輝いていて綺麗です。
醤油の塩気がおとなしいため、鼻に抜ける豚脂の風味に加え、豚ガラや鶏ガラの旨みもしっかり感じ取ることができ、色味の印象とはだいぶ異なる繊細な味わいが楽しめました。
黒いからと言って塩気が強いわけでもないし、こってり濃い味というわけでもなく、むしろあっさり味が好きな人に向いていそうです。
低加水の中細麺とオーソドックスな具
「郡山ブラック」とひと括りに言っても、お店によって使われている麺には違いがあり、中太のストレート麺が使われているお店もあれば、今回のように細めの縮れ麺で供されているお店もあるようです。
今回の中細で縮れのついたノンフライ麺は低加水麺らしい歯切れの良さ。
かための食感で、縮れと相まってあっさり系スープの中で存在感を発揮しています。
具もお店によって様々で、オーソドックスなものだけでなく、ほうれん草、メンマ、焼のり、ニラ、半熟玉子なども入っている場合があるようです。
今回の麺も具も、「郡山ブラック」カップ麺のためにわざわざ用意したものというよりは、メーカーの手持ちのパーツの中から比較的「郡山ブラック」の特徴に近いものを組み合わせているように見えました。
カップ麺が「郡山ブラック」を深く知る契機に
福島には「喜多方ラーメン」や「白河ラーメン」がある上、郡山には鯉料理やグリーンカレーなど他にも名物が多いため、旅行などで訪れてもひょっとしたら「郡山ブラック」まで手が回らないかもしれません。
カップ麺で一度「郡山ブラック」を経験しておくことで、「郡山ブラック」について一段深く知る契機になるでしょう。カップ麺が気に入れば、実際に訪れた際には優先して食べようと思うかもしれませんね。
カップ麺から「郡山ブラック」に入るのは大いにありではないでしょうか。