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「キャバクラの仕事後、酔って電車で立てなくなった。その場にしゃがみ込む私に、乗客のおばあさんが...」(埼玉県・20代女性)

福田 週人

福田 週人

2022.04.28 11:00
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シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Fさん(埼玉県・20代女性)

その時、Fさんは東京から埼玉の自宅に帰ろうとしていた。午前10時ごろのことだ。

キャバクラで働く彼女はその日、朝までお酒を飲んでいた。そのため混雑した電車内で具合が悪くなってしまったという。

そしてついには、立っていられなくなって......。

お酒を飲み過ぎてしまい...(画像はイメージ)
お酒を飲み過ぎてしまい...(画像はイメージ)

<Fさんの体験談>

私は20歳の時から都内のキャバクラで働いていたのですが、家は埼玉県だったので毎日1時間かけて電車で帰っていました。

そんな生活をしていたころのことです。いつもは帰りのことも考えて自分で調整しながらお酒を飲んでいたのですが、その日はお店の大事なお客様とのアフターという事もあり、朝まで強いお酒を飲んで人生で初めて悪酔いしてしまいました。

いつもは寝ると酔いが覚めるので、お店に戻って休んでから家に帰ろうと思い仮眠しましたが、目が覚めても気持ちが悪いまま。そうなると早く自宅に帰えりたい気持ちが強くなり、私は気持ちが悪い状態を何とかこらえて駅に向かいました。

祖母くらいの歳の女性が...

お店の最寄り駅は始発駅なので、普段私が帰宅する時は人も少なく座って帰れるのですが、その時はもう昼間の10時くらいで人も多くなり座席も満員状態でした。

仕方なくドア付近に立って寄りかかっていましたが、悪酔いしていたうえにもともと乗り物酔いしやすい体質だったため、いつもは平気な電車でも動き始めるとみるみる悪化。私はとうとう立っていられなくなり、床に座り込んでしまいました。

電車は満席状態で...(画像はイメージ)
電車は満席状態で...(画像はイメージ)

すると、近くの座席に座っていた自分の祖母くらいの年齢の方たちの1人が近づいて来て

「大丈夫? 体調悪いなら座りなさい」

と声を掛けてくださいました。

私はその時、明らかに夜の仕事をしているとわかるくらい、髪型もメイクも服装も派手でした。そんな私を気遣ってくれたことが、とても嬉しかった。

でも、私はおばあさんの申し出を断って、立ち上がりました。

「健康な人が体調悪い人に席を譲るものよ」

体調が悪いと言っても、きっと傍から見たらただ酔っ払って気持ち悪くなっている「自業自得な人」。だから、そんな自分が席を譲ってもらうのはおこがましいと思ったんです。

ですが、そんな私の内心を察してくれたのか、おばあさんは

「どんな理由であれ、健康な人が体調悪い人に席を譲るものよ。だから、気にしないで座りなさい」

と言って、私の腕を引いて席に座らせてくれたのです。

優しいお婆さんが席を譲ってくれた(画像はイメージ)
優しいお婆さんが席を譲ってくれた(画像はイメージ)

私が「本当にすいません、ありがとうございます」と言いながら座ると、おばあさんは笑顔で「どういたしまして」と返してくれました。また、隣に座っていた彼女の連れの方たちも

「お仕事でしょ? 大変よね?」

と、偏見を持たずに笑顔で声を掛けてくれました。

「若い子が座って...普通は譲るもんでしょ」

私は感謝の気持ちでいっぱいでしたが、体調が悪いのも事実だったので、お礼もそこそこにバッグを抱えて俯き、なんとか少しでも体調が悪化しないようにしていました。

しかし、それから2駅後には車内もいよいよ混み始めたらしく、自分の前にも人が立った気配がしました。そして、女性の声が聞こえてきました。

「若い子が座って...普通は譲るもんでしょ」

顔を上げると2人組のおばさんが私を睨んでいて、その隣には私に席を譲ってくれたおばあさんが立っていました。

何も知らない人からすれば「席を譲らない派手な若者」で......(画像はイメージ)
何も知らない人からすれば「席を譲らない派手な若者」で......(画像はイメージ)

「やっぱりそう思われてしまうよね」と思った私がすぐに立ち上がろうとすると、おばあさんが「体調悪いんだから座ってなさい!」と制止しました。

私が戸惑っていると、彼女の連れのおばあさんも「大丈夫だから。ね?」と腕を掴み、私を席に座り直させてくれたのです。

それに対して、目の前の2人組のおばさんのうち1人が「体調悪いって言ってもどう見ても...」と言いかけたのですが、それを遮るようにして席を譲ってくれたおばあさんが

「体調悪そうだったから私が彼女に席を譲ったんです」

と私を守るように肩をぽんぽんとして、「ゆっくりしてなさい」と言ってくれました。

人を見た目で判断していた私

そこからはおばさん方も何も言ってこなくなりました。そして、また数駅分電車が進んだ後に隣の人の気配が無くなったので顔を上げると、おばあさん方が降りる所でした。

私が「ありがとうございました!」と伝えると、おばあさんたちは「お大事にね」と言って降りていきました。

派手な見た目の私に偏見を持たずに接してくれて、助けてくれて、守ってくれたおばあさんには今でも感謝してもしきれないです。

一目で「夜の仕事」と分かる私に...(画像はイメージ)
一目で「夜の仕事」と分かる私に...(画像はイメージ)

当時の私はまだ若く、見た目で人を判断していた部分もありましたが、彼女との出会いで人としても学ぶ事もできました。

あの時の事を思い出しては、困っている人や少しでも様子が気になる人がいたら声がけをするようにしています。

......今でも相変わらず見た目が派手な方なので、声を掛けると驚かれてしまうこともありますけどね!

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)

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