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「帰宅中、突然の豪雨に襲われずぶ濡れに。お茶屋さんの軒先で雨宿りしていると、店の老夫婦が...」(愛知県・50代女性)

井上 慧果

井上 慧果

2022.04.22 11:00
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シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Fさん(愛知県・50代女性)

礼儀知らずの小娘でした――Fさんは40年ほど前、当時17歳だった自分をそう振り返る。

高校3年生の夏休み。家に帰る途中、突然の豪雨に見舞われた彼女は慌てて商店の軒先に飛び込んだ。

ずぶ濡れになってしまったFさんの姿を見て、店の老夫婦が声をかけてきたのだが......。

軒先で雨宿りしていると...(画像はイメージ)
軒先で雨宿りしていると...(画像はイメージ)

<Fさんの体験談>

今から40年以上も昔の話です。当時私は高校3年生で、夏休みの最中でした。

休み明けに就職試験を受ける会社の下見に出かけて、その帰宅途中、自宅まであと5分ほどの地点で突然の豪雨に振られてしまいました。

当時は今のようにゲリラ豪雨という言葉は一般的ではありませんでしたが、バケツの水を頭上からかけられたような感覚だったのを覚えています。小走りで、商店街にある昔からの製茶店の軒下に入るのが精一杯でした。

そんなずぶ濡れになった私に、お店の老夫婦が気づかれました。

とても親切にしてもらったのに...

ご夫婦は、私を店内に招き入れてくださいました。

奥様がタオルで拭いてくださったり、優しく言葉をかけてくださったり、とても親切にしていただきました。

けれど私は17歳の小娘でうまく会話ができず、そのもどかしさと傘を持ってくれば良かったと思う気恥ずかしさとで、外を見ながら早く止んで欲しいと願うばかりでした。

優しくしてもらったけど、気恥ずかしくて...(画像はイメージ)
優しくしてもらったけど、気恥ずかしくて...(画像はイメージ)

豪雨はおさまらず、それどころか雨水は店内にまで......あっという間に足首の上ぐらいまで浸水。奥から若いご夫婦も出てきて、老夫婦と一緒にバケツや洗面器で水をかき出し始めました。

そんな状況の中で、私はただあたふたするだけ。「お手伝いしましょうか?」と言えたかどうかも今では思い出せません。

確かに覚えているのは、「足が濡れるから奥の段差のある場所へどうぞ」と言っていただいたことです。

その後、再び訪れると...

そうこうしているうちに、雨が止み、水が少しずつ引いていきました。

「ご近所だったら今のうちに帰ったほうがいいわね」

そう言われた私は、お礼もそこそこで外に出ました。

帰る途中に見上げた青空の色を忘れないようにしなければ、と思ったのを覚えています。心細い思いでいた私に優しくしていただいた御恩は決して忘れないようにしよう、と。

この日の御恩は忘れないようにと誓った(画像はイメージ)
この日の御恩は忘れないようにと誓った(画像はイメージ)

そして年月が過ぎ、私は少し離れた土地に嫁ぎました。

お茶なんてどこで購入しても同じと思っていたので、最初は気にしていませんでしたが、50歳を過ぎた頃から実家から近いそのお茶屋さんへ買い物に行くようになりました。

今ではその時の老夫婦の姿はすでに見えず、息子さんも他界されていて、当時の若奥様だった方が、店頭におひとり。

通い始めた頃に、大昔の豪雨のときの話をすると、おぼろげに覚えていらっしゃったようで、

「その後にご両親がお礼にみえましたよ」

と教えてくださいました。私の母は、編み物の職をしていたのですが、「編んだストールや袋をくださいましたよ」とも聞きました。

両親には話していないと思っていたけれど...

雨に降られて助けていただいたのは親ともあまり会話をしていない年頃だったので、家に帰ってからもそのときのことは詳しく話さなかったような記憶がありました。

両親にも、もうそのときのことを質問することは叶いません。でも、私は話をしていたようでした。

母がお礼を言いに行ってくれていた(画像はイメージ)
母がお礼を言いに行ってくれていた(画像はイメージ)

実を言うと、豪雨の後からは丁寧なお礼も言えないまま、気恥ずかしさから、お店の前をなるべく通らないように少しだけ遠回りをしていました。今となっては、礼儀知らずの小娘だったと思います。

周囲の大人の方や両親に、もっときちんとお礼を言うべきだった、と感じる思春期の思い出です。

この年齢になって私も、色々と困ってる人に対してお節介ができるおばさんになってきたような気がします。良いか悪いかは別としてですが......。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

あの時、自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)

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