ここはファンタジーの世界?いいえ、富山です 小矢部市に「お城みたいな建物」が多いワケ
建築士の元市長による功績
同協会の公式サイトを訪れると、
「見て来て体験 メルヘンおやべ」
というキャッチコピーが目に飛び込んでくる。取材に応じた広報担当者によると、
「メルヘンチックなかわいらしい町、ということを積極的に発信しています」
とのこと。やはりファンタジーな雰囲気の建物は市のアピールポイントなのだ。
なぜ小矢部市にこのような建物が多いのかというと、
「小矢部市の前々市長である松本正雄さん(故人)という方が建築士だったのですが、その方が子どもたちに夢や希望を持って学んでもらいたいという想いを込めて、主に小学校や公民館をメルヘン建築として建てられました」
と広報担当者。
現在、市内には「大谷中学校」「蟹谷(かんだ)小学校」を初め、計34のメルヘン建築がある。
たとえば、レンガ色の尖った屋根がモダンな大谷中学校は、協会の公式サイトによると本体の塔屋は東大安田講堂、正面は東大教養学部のキャンパスをモデルに作られている。
そして、高さ47メートルに及ぶ塔の先端はオックスフォード大学の学生寮、体育館は大阪・中之島にある中央公会堂がモチーフ。
校舎の内部は国立劇場、クラブハウスのドームはフィレンツェの大聖堂と、そうそうたる世界的な建築物を参考に建造された。
他にも、津沢小学校の体育館は早稲田大学の坪内演劇博物館、荒川公民館の本体はバッキンガム宮殿、林間休養施設(恵林館)はスイスのチロル風山小屋......などなど、有名な建物をモデルにしたものが多い。
小矢部市がメルヘンな町の魅力を発信し始めたのがおよそ1981年ごろとのことなので、少なく見積もっても40年以上、これらの建物は町のアイコンであり続けているわけだ。
では、実際にそこで幼少期を過ごした地元の人は、「メルヘン建築」に対してどのような思いがあるのだろうか。