ここはファンタジーの世界?いいえ、富山です 小矢部市に「お城みたいな建物」が多いワケ
2022.01.17 08:00
メルヘン建築で育った小矢部市出身者は...
富山大学人文学部文化人類学研究室が出版した論文「創造と継承が交わる地平 : 人々が紡ぐ小矢部」(2020)の中で、筆者の吉田彩香さんは次のように述べている。
「私は小矢部市で生まれ育った。出身保育所と中学校は共にメルヘン建築である。特異な外観を持つこれらの建築物が小矢部市特有のものであると気が付いたのは、小学校の総合学習の時間だった。それ以降、母校が一風変わった建築物であることがどことなく嬉しかった」
「他の学生から『田園風景に合わない』『違和感がある』との声を聞いた。自分にとっては幼い頃から親しんできたなじみ深いものでも、他所の出身の人からすれば異質なものであることを知った」
(藤本武・野澤豊一, 創造と継承が交わる地平 : 人々が紡ぐ小矢部, 地域社会の文化人類学的調査, 2020.)
彼女の場合は、自身の出身校がメルヘン建築であることを嬉しく思っていたため、大学で出身が異なる学生の意見に触れたのは非常に新鮮だったようだ。それほどメルヘン建築は彼女の日常に馴染み、当たり前の光景だったのだろう。
松本前々市長の、「子どもたちに夢や希望をもって学んでほしい」という想いは成就したと言えるのではないだろうか。
実際に町の雰囲気を感じながら、本物の建築物を前にしたらどのような印象を受けるのか。ぜひこの目で確かめてみたいと強く思った。
(17日14時20分追記)記事初出時、「大谷中学校」の写真を誤って「蟹谷中学校」として紹介していたため、キャプションと本文の一部を訂正しました。