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大昔からあったとしか... 歴史的町並みに溶け込む「新築ビル」のこだわりがスゴイ

松葉 純一

松葉 純一

2022.01.12 18:21
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「震災の経験から、耐火建築物を」

千葉商船ビル階段(画像提供:岡建工事株式会社)

――「千葉商船ビル」建築の意図・狙いは何だったのですか?

「香取市佐原は『三大小江戸』の一つとされる『重要伝統的建築物群保存地区』。しかし、この地域には木造建築だけでなく洋風建築、擬洋風建築も散見されます。木造の伝統的建築ではなく洋風建築かつ鉄筋コンクリート造を選択された一つの理由としては、お施主様が震災を経験されたことから、次に建てる建物は耐火建築物として震災等の際に盾になるもので、火災時の延焼を防止できるように、という目的があるとおっしゃっておりました」(岡建工事企画設計部担当者)

――「千葉商船ビル」建設にあたって、佐原地区景観条例の許可をとることが重要だったようですね。香取市との協議でもっとも大変だったのは何だったのですか?

「香取市佐原地区歴史的景観条例は、もともと木造しか想定していなかったので鉄筋コンクリート造の洋館は香取市にとっても初めてのケースでした。地区の規定との調整に大変多くの時間を要しましたが、お施主様の熱意と、それにお応えいただいた審議会の皆様、自治体の担当者の方のご尽力、有識者の大学教授などの協力的な助言を頂きながらようやく許可がおりました時はホッといたしました」(岡建工事企画設計部担当者)
千葉商船ビル2階(画像提供:岡建工事株式会社)

――外観は昭和初期を再現しながら、内部の機能は現代の最先端を追求するというのは、なかなか難しい課題だったと思いますが、どんな点に苦労されましたか?

「地区において建物の高さを制限されているため十分な天井裏や床下のスペースがとれないため、限られたスペースに電気、衛生、空調各設備を納めるために何度も行なった各業者間でのすり合わせが大変でした」(岡建工事企画設計部担当者)

――レンガ、石材、建具など、特注されたそうですが、もっとも苦労されたのは何でしたか?

「外壁のレンガについてはモデルになった建物の外壁に近づけるため何度もサンプルを製作して現地確認をしました。
建具は近年既製品が主流となっており一から製作してくれる業者さんを探すことがなかなか大変でした。
最近あまり使われなくなった左官仕上げができる左官職人さんを探すことも大変でした。石材のレリーフを原寸大のモックアップを木で作成して工場に送りその通り製作していただいたことも今の建築ではなかなかやらない工程です」(岡建工事企画設計部担当者)
「あっ佐原だ!」「行ってみたい」
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