「本当にお父さんじゃない?」
それは、自転車にまたがったサラリーマン風の男性でした。
お兄さんはその人を気にしている様子で「あそこにいるの、お父さん?」と聞いてきましたが、見ず知らずの男性です。私は「違います」と答えました。
その後もお兄さんは一分ほど他愛のない話をしていましたがその間、自転車の男性はほとんど睨むような怖い視線でこちらを見ていました。
「本当にお父さんじゃない?」
と、何度かお兄さんに聞かれました。やがてお兄さんは車の窓を締めて走り去っていきました。それを見届けた自転車の男性も走り去っていきました。