「習い事からの帰り道、若い男に話しかけられた。その様子を知らないおじさんが、じっと睨みつけてきて...」(栃木県・年齢不明女性)
道路の向こう側から、怖い顔で睨みつけてくるおじさんがいた――。
栃木県出身の読者・Cさん(年齢不明・女性)は、小学生の時そんな体験をした。
習い事からの帰り、ひとりで人気のない夜道を歩いていたCさんは、車から声をかけられ、立ち止まる。
窓から顔を出したのは、フレンドリーな雰囲気の若い男性。道を聞かれるということもなく、他愛のない世間話が始まったという。
その様子を見ていたのが、睨みつけてきたというおじさんだ。
いったい、何故そんなことを? CさんがJタウンネット編集部宛に寄せたメールの、一部始終を確認していこう。
「国道を歩いているときからずっと見ていた」
約30年前、栃木県宇都宮市でのことです。
当時の私は小学校5~6年生。隣町での習い事からの帰り、夜7時ころだったか......既に暗くて街灯がともっている時間帯に駅から家まで一人で歩いていました。持久走大会を控えており、練習のために走って帰りたかったので、親には駅まで迎えに来なくていいと言っていた時期でした。
国道からそれてひと気が少ない道に入ってしばらく行ったところで、車に乗ったフレンドリーなお兄さんに声をかけられました。20歳前後ではなかったかと思います。
道を聞かれるのかと思い立ち止まりましたが、お兄さんは世間話を始めました。
「国道を歩いているときからずっと見ていた」
そんなようなことを言われましたが、当時の私はそのお兄さんの意図が分からず、何か用があるのかとその場を立ち去れずにいました。
......そんな私とお兄さんを、道を挟んだ向かい側からジッと見ている人が居たのです。
「本当にお父さんじゃない?」
それは、自転車にまたがったサラリーマン風の男性でした。
お兄さんはその人を気にしている様子で「あそこにいるの、お父さん?」と聞いてきましたが、見ず知らずの男性です。私は「違います」と答えました。
その後もお兄さんは一分ほど他愛のない話をしていましたがその間、自転車の男性はほとんど睨むような怖い視線でこちらを見ていました。
「本当にお父さんじゃない?」
と、何度かお兄さんに聞かれました。やがてお兄さんは車の窓を締めて走り去っていきました。それを見届けた自転車の男性も走り去っていきました。
自転車のおじさんが居なければ......?
自宅に帰って母に一連の出来事を話すと、自転車の男性にひどく感謝している様子でした。そして、車から声をかける不審な若者がいたことを学校と警察に連絡していました。
母の反応を見て初めて、怖い顔で睨んでいた自転車の男性はいい人だったこと、その人のおかげで助かったのだということがわかりました。
当時のことを思い出しては、あの自転車の男性がいなかったらどんなことになっていたのかと想像するとゾッとしますし、当時の自分の判断力の低さに落胆します。「お父さんじゃない?」という問いに「違います」と答えるなんて......なんともバカでした。
自転車の男性には娘さんがいらしたのかなと想像することもあります。できれば直接お礼がしたいですが、お名前もわかりません。
感謝をお伝えすることは叶わないものの、私にできることは、忙しさにかまけて不審な出来事から目をそらさないことだと思っています。子供を持った今、強く思います。
黒縁メガネの、自転車のおじさん。あの時は、ありがとうございました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
少し離れたところから、文字通り睨みを利かせていた自転車のおじさんがいなければ、Cさんはとても危険な目に遭っていたかもしれない。
事の顛末を聞いたCさんの母親は、きっと肝が冷えたことだろう。
Jタウンネット編集部では、Cさんから寄せられたエピソードのように、自分を助けてくれた人に伝えたい「ありがとう」の声を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、「いつ、どこで出会った人に、何について感謝を伝えたいのか(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)」を、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※なお本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)