「電車の中で、だんだん暗くなる視界。側に座っていた若い男が、私のマフラーに手をかけて...」(都道府県不明、40代男性)
電車やバスの中で体調が悪くなってしまうと、逃げ場がない。
窓が締め切られていたり、しばらくの間ドアが開いていなかったり......新鮮な空気がなかなか吸えないし、いつでも外に出られるというわけではないのが辛いところだ。
Jタウンネットの読者・Cさん(仮名、40代男性)はある日、電車で立っていた彼は、急激に体調が悪化するのを感じた。
気持ち悪さに襲われ、視界までもがだんだんと暗くなる。Cさんはいつの間にか、床に座り込む形になっていた。
――そんな時、差し伸べられた手があったという。
Cさんから編集部に寄せられた優しい思い出を、一緒に振り返っていこう。
10歳は年下に見えるのに
15年前の話です。真冬に、1週間の出張から帰宅すべく空港から電車に乗り、ドア付近に立っていました。
しばらくすると、なんとなく腹痛のような気持ち悪さを感じ、だんだん視界が暗くなってきました。これは貧血かと思い、なんとか倒れまいとするもののガクっと座り込んだ形に。
すると、すぐ隣に座っていた学生風の男の子が、私に声をかけてきたのです。
「どうしました?大丈夫ですか?」
彼はそう言いながら私のマフラーとネクタイを緩めると、「ここ座ってください」と、私を抱えて自分の席に座らせてくれました。
小さな声でお礼を言うのが精一杯で、座ってからも暑くもないのに汗がダラダラ出てきて、顔もおそらく蒼白だったのだと思います。
その子の降りる駅はどこだったのか...
男の子が、私に向かってこう言いました。
「降りる駅はどこですか?着いたら起こしますのでそれまで寝ててください」
その言葉に甘えて、3つ先の駅を伝えじっと座っていると、だんだん落ち着き、意識もはっきりしてきました。
降りる駅に着くと「着きましたよ、立てますか?」と彼が声をかけてくれ、さらに、出口まで付き添ってくれたのです。
私よりも10歳は年下に見える子です。自分がその年頃に同じような対応ができたとは思えません。
後からふと思いましたが、その子の降りる駅は本当に、もっと先の駅だったのか......。もしかしたら、気遣って私の降りる駅まで付き添ってくれたのかもしれません。
今頃どうしているかな、きっと健やかな人生を送っているんだろうな。
当時は気の利いたお礼の言葉も言えませんでしたが、たいへんお世話になりました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
体調が悪そうな人に声をかけるのは、勇気がいるもの。それでも手を差し伸べてくれた青年の優しさは、Cさんの胸の中に残り続けている。
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
自分を助けてくれた誰かに伝えたい「ありがとう」がある人はぜひその時の話を聞かせてほしい。
いかがだろうか。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、旅行に行った時期・場所、具体的なエピソード(どんなことにほっこりしたのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。