「未熟者だった私をお許しください」
海外在住の読者・Kさん(仮名、30代女性)から、編集部に1通のメールが届いた。
彼女には、忘れられない人が居る。10年ほど前に出会った、タクシー運転手の男性だ。
それは、春の彼岸の頃だった。祖母の命日が近かったこともあり、Kさんはふと思い立って一人で墓参りに行くことにした。
墓があるのは埼玉県の霊園。都内に住んでいた彼女は電車に乗って、大宮駅に向かった。
しかし、これまで一人で墓参りに行ったことのなかった彼女は、霊園の場所も、お墓の位置も、正確には覚えていなくて......。