あんなに安かったのに、なぜ? 今や唯一の「旧3級品」...増税前に、沖縄限定たばこ「うるま」の歴史を振り返る
もう安くない、旧3級品
紙巻きたばこ「うるま」は、「旧3級品」に分類される商品だ。
JTの前身、日本専売公社の製造する紙巻きたばこは、主原料とする葉タバコの品質により、1~3級に分けられ、価格にも差が付けられていた。3級は等級が最も下の「中質及び下質の葉たばこを主原料に用いて調製したもの」(1965年施行、85年廃止の「製造たばこ定価法」より)。85年の「たばこ事業法」で品質の分類は廃止されたが、「わかば」「エコー」「しんせい」「ゴールデンバット」「うるま」「バイオレット」の6銘柄は「旧3級品」として扱われてきた。しかし、18年に「しんせい」と「バイオレット」、19年には「わかば」「エコー」「ゴールデンバット」がJTの在庫売り尽くしをもって廃止となることが発表され、現在も販売されているのは「うるま」だけだ(「わかば」「エコー」は紙巻きたばこではなく、葉巻の一種リトルシガーとしてリニューアルしている)。
21年9月現在の価格はひと箱500円。
旧3級品に「安いたばこ」のイメージを持っている人は、驚いたかもしれない。たしかに、85年施行の「たばこ税法」により、「旧三級品」には税率の特例が適用され、価格が抑えられてきた。ほかのたばこと比べて、100円以上安いこともあったのだ。例えば、うるまは18年10月時点では、ひと箱360円だった。このころのメビウスは、480円だ。
しかしその特例も2015年に撤廃が決まり、段階的に税率が引き上げられることになった。
旧3級品の中で現在も残っているのが「うるま」一種だけになっているのは、この特例税率の撤廃より、手ごろな値段での販売が難しくなったことも大きい。
「わかば」などの廃止が発表された19年7月24日付けのプレスリリースでは、以下のような説明がなされている。
「旧3級品特別たばこ税率撤廃により、大幅に値上げせざるを得ず、お求めやすい価格での販売が困難となります。このため、10月以降、売り尽くしをもって販売を終了し、廃止することといたしました」
「旧3級品銘柄の一つである「うるま」については、その他銘柄同様に税額分として大幅な値上げを予定しておりますが、沖縄県地域固有の銘柄であり根強い支持をいただいておりますため販売を継続いたします」