あんなに安かったのに、なぜ? 今や唯一の「旧3級品」...増税前に、沖縄限定たばこ「うるま」の歴史を振り返る
「沖縄限定」のワケは?
そもそも、なぜ「うるま」が沖縄固有の銘柄なのかというと、もともと沖縄の企業が作っていたものだからだ。
1960年、当時まだ米軍の占領下にあった沖縄で、紙巻きたばこ「うるま」は誕生した。たばこの歴史を扱う書籍「たばこパッケージクロニクル」(たばこと塩の博物館監修)の「沖縄の本土復帰とたばこ」というコラムには、こんな記載がある。
「(占領下の)間、専売制度から離れた沖縄のたばこ産業は、民営産業として地道な発展を遂げていた。昭和26(1951)年に、琉球煙草株式会社が設立され、それに続いて合計3社が発足し、個性あふれるたばこが販売されていたのである」(冒頭括弧内は編集部記載)
戦後の沖縄における最初の煙草製造企業・琉球煙草。これが、「うるま」を作った会社である。
なお、「専売制度」とは、たばこの製造から販売までを国の管理によっておこなうこと。1904年7月に施行され、1985年に廃止された。詳しくはJタウンネットの記事「『昔は、たばこが安かった』←いったい、どのくらい?たばこの歴史と社会情勢を探る」で説明している。
その後1972年に沖縄が本土復帰する際、たばこ専売制施行にあたって沖縄のたばこも専売公社が製造・販売することになり、「琉球煙草」を含む3社は廃業。琉球煙草の工場は専売公社が買収し、那覇工場になった(参考:「日本たばこ産業―百年のあゆみ―」、日本たばこ産業刊行、2009年)。
この那覇工場は04年に閉鎖されたが、「うるま」の製造は県外の工場に引き継がれ、そして今に至るまで販売され続けている。
そんな沖縄の歴史が詰まった「うるま」。根強い支持を受けていると言うが、いったい、どんな味がするのだろうか。