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ひっそり開催された「勝手にコミックマーケット」カタログに反響 いつか訪れる「再会の日」のために...

大久保 歩

大久保 歩

2021.08.01 20:00
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表紙の花束にこめた意味

裏表紙には、「晴海客船ターミナル」と「としまえん」が(写真はリョウさん提供)

そもそも、「コミケ」といえば、例年は8月のお盆と12月の年末の時期に開催される、同人誌即売会をメインとしたビッグイベントだ。

2020年夏は、会場である東京ビッグサイトが東京オリンピック・パラリンピック関連で使用される予定だったため、異例の5月に開催されるはずだった。

それが2回続けて中止・延期となってしまったのである......。

では今回、開催された「勝手にコミックマーケット」とは何だろう。実籾さんは、こう説明した。

「私の自宅で、同人誌を持ち寄ったりコスプレをしたりワイワイ楽しく自由に好き勝手にコミケの雰囲気を友人達と楽しもう!という単純な企画です」

今年の夏もコミケが開催されないことを知り、友人たちと「寂しいね」と言い合っていたという、実籾さん。「何かコミケっぽいことをして少しでも参加した気分になればいいじゃないか!」と思いついたのが、同企画のきっかけだったという。

参加者は計6人で、実籾さんの他に5人の友人が参加した(内1人が投稿者のリョウさん)。

ツイッターで注目を浴びたカタログの制作も、あくまで小規模な身内の集まりの一環だった。

本文は全12ページで、以下のような項目が収録されている。

はじめに
理念
徹夜禁止
サークル参加
コスプレ参加
会場までの行き方
地図
サークルカット
編集後記

本文を担当した実籾さんいわく「できるだけ本物のカタログっぽくなるように制作しました」。

そして表紙と裏表紙のイラストは、プロの漫画家として活動している友人の片倉頼さんが担当。キャラクターひとりひとりのデザインや服装にも、たくさんの想いが込められている。

片倉さんによる表紙イラスト(再掲)

それぞれ、緑髪の少年はカート(スーツケース)、赤髪の少年は段ボール、水色の髪の双子はパイプ椅子、そして青紫の髪の青年は長机の擬人化なのだ。いずれも、コミケのサークル参加者にとっては必須のアイテムである。

作者の片倉さんによると、コミケの再開を心待ちにしている人たちと同様、段ボールやカートなどの道具たちも出番を待っているだろう、と想像しながら描いたそうだ。

さらに、イラストに込めた想いについても、以下のようにコメントした。

「何より主催の実籾さんから送られて来たカタログの中身に記載されていた本家コミックマーケットの理念の一つ『参加者にとって"ハレの日"である』という言葉に感銘を受け描きあげたイラストです。
またいつの日か再び訪れるコミックマーケット開催の日を彼ら(ダンボール達)が祝い、参加者を待ち受けてる絵なんです(なので少しフォーマルめな格好をしています)」
「分かりづらいのですが、カートに乗っている花束にはノウゼンカズラというラッパの形をした花が混ざってます。この苦難の日々を乗り越え、ビッグサイトでの仲間との再会をファンファーレで祝福したいというメッセージを込めました」(片倉さん)

改めて表紙を眺めると、カートと段ボールの少年たちがこちらに手を振りながら、参加者たちに何かを呼び掛けているようにも見えてくる。

ひさびさに「ハレの日」を迎えられ、ワクワクする彼らの気持ちが伝わってくるようだ。

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