混雑状況で価格が変わる? ある飲食店が導入した「ダイナミックプライシング定食」が画期的だと話題に
「空間」に価格が付いた?
なぜこのような取り組みを始めたのだろう。Jタウンネット編集部は10日、同店の運営会社・バターの代表取締役・田中一央さんを電話で取材した。
田中さんによると、お食事処asatteは、3月27日ごろから5月いっぱいは店内での食事提供を自粛し、弁当の販売のみで営業していた。そして、6月1日から店内での飲食を再開したという。店内は小さく、席数は12席のみ。
「ありがたいことに、結構お客様来ていただいているお店だったので、かつ、すごく狭いお店なんですね。そこにぎゅうぎゅうに入っていただいて、運営していたんです。
今の状況の中で、(三密を回避するために)席数を減らして運営すると、事業が成り立っていかないという事情があって。利益を捻出していかなければ、毎日来ていただいている方にもご迷惑をおかけしてしまうし、ということで考えた結果この形を採用しました」
と田中さん。
同店のメニューは日替わり定食のみで、以前は一食1000円(税込)だった。その値段を、これまで混雑していた時間帯には高くし、空いていた時間帯に安くすることで、店を訪れる人の数を分散させようというのだ。
どの時間帯に、どれくらいの価格で定食を提供するかは、目標とする売り上げから割り出していくという。
1週間この形で運営してみたところ、
「狙い通りお客様の数はコントロールできているとは思います」
と田中さん。従来のピーク時には、これまでのような混雑はなくなったようだ。しかし、価格が最も安い時間帯に客が集中してしまうこともあるそう。
「人ができるだけいない、というところに高いお金を払ってもいい、という方もおそらくいるだろうと想定していました。実際に、そういう方もいらっしゃったのですが、想定していたほどはいらっしゃらなかったので、それをいかに金額に反映させていくかがプランの課題だと思います」(田中さん)
これからこの形式で運営を続け、状況を見ながら金額を変動させていくそう。週に1回程度価格を変えることになるのではないか、と田中さん。
今回の取り組みを行ってみた感想を聞いてみると、
「『密』であることに金額をつけたというか、空間は高いですよ、という。隣との距離がある店は高くなっちゃうし、ぎちぎちに入っていると安くなっちゃうという感覚です。今までなかったところに価格がついたのかな、と感じているところです」
としていた。
少し混んでいても安い店と、ちょっと高いけれどすいている店。同じ食事が食べられるなら、今の皆さんはどちらの店を選ぶだろうか。