リアルすぎてトーストに塗るレベル 本物のハチミツにしか見えないインクがおいしそう
美しさと実用性の両立に苦心
一見インクには見えないような「はちみついんく」は、文房具としての実用性もしっかり持ち合わせていた。このインクを生産したTono&Limsのアカウントは以下のようにツイートしている。
どうやら完成まではかなりの苦労があったらしい。Jタウンネット編集部はTono&Limsのマーケティング担当者・Tonoさんにも話を聞いた。
「確か『ハチミツ色を作りたいんですけど』っていうのが(尚貴堂からの)第一声だったと思います。その時、手渡されたのが本当のハチミツだったんですよ。3種類、この色を作りたいんですってハチミツが来たんです。
色としては有りだろうなというか、面白いなとすごく思ったんですけど、やっぱり僕らってインクを作っているので、見た目も大事なんですけど、書いたときに読めないと意味がないなと思っていて。
ハチミツってすごい薄い色じゃないですか。だから、きっと普通に作ったら読めないだろうなって思ったんです。どうするんだろうなって思ったのが最初の、(提案を)受けた時の感想ですね」
とTonoさん。尚貴堂が最優先したかったのはインクの透明感だが、Tono&Limsが重要視したのはインクとしての実用性。その両立のために試作を繰り返したそうだ。
「(Tono&Limsは)ちゃんと書けて、見えることが必須だと思っていて、一方、やっぱり一緒にやってる尚貴堂さんが『見た目』を大事にするのも分からなくは無くて。
透明な軸に入れて綺麗っていうインクはなかなかないんですよね。そこを彼がやりたいっていうのもすごくわかったので、そこの二つを両立することに一番苦心しました」(Tonoさん)
こちらの写真は、スポンジを使って引いた線。左から3本ずつ「アカシア」「レンゲ」「ボダイジュ」の順だ。スポンジについたインク量が減っていくので、少しずつ薄くなっている。
「(書いてみると)一般的なインクよりは淡いというか薄い感じ。
瓶で見たのと似たような色を出せるように調合しています」(Tonoさん)
見た目、色、そして香り。様々なこだわりがつまったインクだが、Tonoさんにはひとつだけ心残りがあるそうだ。それは「粘度」だという。
「粘度。とろみ感。これはね、やりたかったんですけど、やると万年筆には使えなくなっちゃうんです。ここは将来何とかしたいと思っているんですけど。
やっぱりサラサラすぎるとハチミツチックじゃないかなという気がしているので、そこが次の課題です」
今の時点ですでにハチミツと見間違えそうなのに、とろみがついたらいよいよ見分けがつかなくなりそうだ......。
はちみついんくは尚貴堂が参加するイベントや、尚貴堂のネットショップで販売される予定。実物を見てみたいという方は、イベントに足を運んでみてはいかがだろう。