合言葉は「門司のために」 北九州発の焼酎「地芋」には、地元への想いが詰まっていた
なぜ門司にUターン?プロジェクトの中心メンバーに聞いた
地芋プロジェクトは地酒処田村本店(門司区)の田村洋文(51)さんが7年ほど前から構想を練っていたもの。東京からUターンして間もないシマダ酒店の島田一輝さん(41)に出会ったことでプロジェクトが始動した。
地芋プロジェクトをけん引してきた島田さんに、なぜ「地芋」を作ったのか聞いてみた。
門司で生まれ育った島田さんは大学入学を機に門司を離れ、卒業後は伊藤園に入社。営業や社長秘書を経験したのち、2016年に退社。家業である酒屋を継いだ。
門司に戻ってきた理由について、島田さんは、
「門司ってポテンシャルがあるのに何で知らないんだろうと感じることがあり、門司を有名にしてやろうという思いがきっかけでした。実家の酒屋がつらい思いや経験をしてきたことも知っていたので、成功させてやろうという思いがありました」
と話す。酒屋を継いだ後は、地元の農地を守るためになにかできないかと考えていた田村さんと出会い、意気投合。門司産の芋焼酎を造るプロジェクトが始動した。
しかし大きな課題だったのが、肝心の「サツマイモ」を育ててくれる農家を見つけること。サツマイモは門司の特産品というわけでもなく、イノシシに畑を荒らされるという懸念からなかなか引き受けてくれる農家が見つからなかったという。
そこで島田さんが門司区役所に相談したところ、手を貸してくれたのが農家の白石さんだ。
白石さんも2017年に祖父が亡くなってから、家業を継いだばかり。「門司のためになるなら」と、サツマイモ作りを引き受けた。もともとサツマイモは家庭用に栽培しており、地芋プロジェクトのために畑を広げたという。
芋掘りは去年も地元の子供たちと一緒に行った。これには島田さんのこだわりがあるようで、
「自分は幼少期の地元の経験があったから戻ってきました。これが子どもたちの経験になればいいですね。成人式で『地芋』を飲んでほしい」
と話している。
門司への想いがたくさん詰まった芋焼酎――完成したらぜひ1杯いただきたい。
<企画編集:Jタウンネット>