合言葉は「門司のために」 北九州発の焼酎「地芋」には、地元への想いが詰まっていた
まずは芋掘りから
芋焼酎「地芋」は北九州市・門司の農地で採れたサツマイモや米を使い、小倉の老舗酒蔵「無法松酒造」が製造したニューフェイスだ。19年3月のJR門司港駅グランドオープンに合わせて発売され、今年はさらに量を増やして製造する予定だという。
筆者は今回、その二度目の製造過程を取材することになったわけだ。
焼酎造りに使うサツマイモは、門司区にある若手農家の白石雄大さん(28)の畑で栽培。19年10月12日に行われた芋掘りには、プロジェクトチームだけでなく地元の小学生らを含めた約100人が参加した。
掘っているときは大人も子供も真剣。楽しくワイワイ...というよりは休憩もそこそこに、みな作業に没頭していた。
「今年は大きいなあ」そんな声がプロジェクトチームから聞こえる。大きい芋は捨てる部分が使用できる部分に対して少なく済むため、作業効率が良いそうだ。子供の頭くらいあるだろうか...かなり大きいイモもちらほら見られる。
筆者もいくつか掘ってみたが、おもしろいくらいにイモがボロボロ出てくる。お宝を発見したかのような快感だ。農家の白石さんは梅雨が長かったことから日照不足を心配していたようだが、大物続出に「良かったです」と安心した様子だ。
今年植えた苗数は昨年の約4倍。収穫したイモの一部は参加者に配られ、小学生向けにスイートポテトの製造にも使われるそうだ。
持ち帰り用の袋がはち切れそうなほど、イモを詰め込む参加者。今日のことを話しながら家族でおいしく食べたことだろう。
ところでこの固形のイモがどうやって焼酎になるのか。あとは機械に任せてハイ終わり――そんな気の抜けた想像をしていた筆者だったが、待っていたのは文字通り「手作業」の焼酎造りだった。